ある程度FXを経験した人なら、
プロスペクト理論という言葉を聞いた事があると思います。

 

プロスペクト理論を簡単に説明すると、
人は基準値よりもプラスの領域にいる場合は、リスクを回避する傾向にあり、
基準値よりもマイナスの領域にいる場合は、リスクを先行する傾向にある、
という人間心理の事ですね。

 

よく使われる例題としては、
1.確実に100万円貰える
2.コインを投げて、表が出たら200万円もらえるが、裏が出たら一切貰えない。

あなたはどちらを選びますか?

 

もう1つの例題です。

3.あなたの借金200万円を無条件で100万に減らしてあげます。
4.コインを投げて、表が出たらあなたの借金200万円を全て帳消しにしますが、
  裏が出たら200万円のままです。

あなたはどちらを選びますか?

 

普通の人間だとしたら、[1]と[4]を選ぶ傾向が非常に多いです。

 

あなたはどうですか?
もちろん私が最初にプロスペクト理論を知った時には、[1]と[4]を選びました。

 

期待値からすると、[1]と[2]は全く同じ、そして[3]と[4]も全く同じはすです。
しかし、人間の心理からすると、

 

プラスの領域に置かれている場合(お金が得られる場合)は、
確実に手に入れられるほうを選択し、
マイナスの領域に置かれている場合(借金返済)場合は、
不確実性の一か八かにかける選択をする、
ということです。

そして、この心理はFXにも当てはまるわけです。

 

つまり、
含み益になっている場合は、なるべく早く確実に利益を確定させたい、
含み損になっている場合は、できるだけ引き伸ばして回復するのを待ちたい
という心理状態になることを言っています。

 

これは、人間心理にそのまま従っていれば、損大利小に行動してしまい
結果的にFXでは負けてしまうことを意味しています。

 

ということは、人間心理に従わない、損小利大という行為は
普通の人間にとっては非常に苦痛に感じるわけですね。

 

しかし、これを実現させないとFXでは勝つことができません。

 

、、、と、ここまで述べたことは、
FXを勉強した人なら、誰も頭では理解しているでしょう。

 

そうです "頭では" 理解していますが、
ほとんどのトレーダーはそのように行動できていないんですね。

 

FX初心者がプロスペクト理論というものを勉強したとしても、ほとんどの人が
ふーん、確かにそんな傾向があるよね
程度で終わらせてしまいます。

 

それでは、利を伸ばせないですし、損を抑えることもできないです。
単に知識の肥やしになっているだけで、行動に移すだけの力はないでしょう。
 

そこで私は、以下のような新しいプロスペクト理論の例題を提示したいと思います。

A.あなたはプロのスナイパーから拳銃の銃口を向けられています。
次元大介でもゴルゴ13でも構いません。
プロですから一発であなたを死へ追いやる事ができます。
しかし、逆言うと急所を外すことも確実にできます。

あなたはプロのスナイパーから確実に銃弾を受け、傷を負うことになるが、
相手は確実に急所を外して、あなたは確実に生き残る事ができ、
その後は回復し、通常どおりの生活を過ごすことができます。

B.あなたは今日始めて拳銃を持った素人に銃口を向けられています。
素人ですから当たるかもしれませんし、当たらないかもしれません。

もちろん、狙いはデタラメです。どこに当たるか分かりません。
もしかしたら、一生車椅子での生活、
もしくは、一生病院で過ごさなければならないかもしれませんし、
当たり所が悪ければ死ぬ事もあります。

 

AとBあなたはどちらを選びますか?
 

かなり究極の選択となると思いますが、
それでもあなたは、リスクを先行し、不確実性の一か八かの[B]を選択しますか?

 

さすがに死の可能性があると考えるならば、
絶対に死なない[A]を選択すると思いませんか?

 

「痛い思いをするのは嫌だから、死ぬかもしれないけど[B]を選択しよう」
なんていう人は多分いないのではないでしょうか。

 

死ぬのだけは絶対嫌ですからね。

 

でも、、、
FXで損切りをしないということは、
上記で[B]を選択していることと同じなんですよ。

 

素人から拳銃で狙われても、当たらないことも多いでしょう。
しかし、いつも当たらないことばかりを期待しても、
いつかは当たってしまいます。

 

そして当たり所が悪ければ、即刻死が待っています。

 

FXでも同じです。

 

FXで含み損が出ている場合、戻ることも多いです。
しかし、いつも含み損を抱えて、戻る事ばかりを期待していても
いつかは戻らない時がやってきます。

 

そして、戻らなかった時は、即刻死(FXから退場)が待っています。

 

損切りとは人間の死を連想させるくらい重要な要素であると考えるべきです。
 

上記の例では、期待値という数字で表すことができないので、
実際にはプロスペクト理論とは違うでしょうが、
このくらい重大な究極選択だと考えるのなら、
あなたも"本気"になれるのではないですか?

 

ここまで読み進めて頂いた上で、最後に質問します。

 

あなたのポジションが、"今"損切りすべき位置に到達しました。

 

あなたは[A]を選びますか?それでもまだ[B]を選びますか?