日本人の多くが安定志向です。
変化する事をリスクと捉え、
もしも今の状況よりも少しでも悪くなってしまう可能性があるのなら、
現状維持でも構わない、と考えています。
日本人の多くがコツコツ努力する事は良い事だ思っています。
真面目に一生懸命勉強し、辛い経験や困難を克服し、
たくさん努力すればするほど、
それに比例した分だけ結果が伴ってくると考えています。
確かに現実社会では、安定志向で地道に勉強を積み重ね、
たとえ困難な状況に陥ったとしても、
それを我慢して受け止め、解決に向けて努力した結果、
その困難を克服する事ができた、という経験をしている人も多いでしょう。
そうした成功体験というのは、貴重な財産であり、
それを繰り返す事で潜在意識に “安定志向” や “努力” の重要性が
植え付けられていきます。
そして、次に別の困難な状況に出会ったとしても
同じようにコツコツ努力していけば、
いつかは解決できると信じて頑張れるようになります。
しかし、、、これがFXの世界となると、
その “安定志向” や “努力” が間違った方向で
表面に出てきてしまう人がほとんどです。
トレードでは安定を求めてはいけない
目標を決めてそれに向けて頑張る事は良い事です。
FXでも、
「毎日1万円以上、週に5万円以上、月に20万円以上獲得する!」
というような目標を立てている人は多いでしょう。
しかし、このような安定志向の目標は、
それにこだわり過ぎると、自らの首を絞める結果となってしまいます。
なぜならば、毎日、毎週、毎月の獲得PIPS数、利益額というのは、
自分で決めるものではなく、相場が決めるものだからです。
相手は
意思疎通のできない、
こちらの話を全く聞いてくれない、
コントロールする事ができない、
“相場”です。
にも関わらず、
「今日はまだ5000円しか儲かってないから、このトレードであと5000円!」
と思っても、
「今週は木曜までで、まだ3万円しか儲かってないから、金曜で2万円分獲得しよう」
と思っても、
相場はそんなこちらの都合を聞いてくれるはずはありません。
実生活では相手とのコミュニケーションを図り、
問題解決に向けて話し合う事で、克服していく事もできるでしょう。
しかし、FXでは言葉の通じない “相場” が相手です。
実生活での成功体験をそのままFXに持ち込み、
“安定志向” や “努力” が間違った方向で表面に出てくると、
間違った解決策を選択してしまいます。
実生活での成功体験はトレード時には通用しない
トレード時の最も困難な状況は、含み損を抱えている時でしょう。
それを実生活での成功体験になぞらえて、
「我慢して受け止め、解決に向けて努力」しようとする間違った解決策は、
ナンピン、及び過剰なロット数での取引といえるでしょう。
「このトレードで勝たないと目標金額に達成しないから、
何としてでも勝とう」
安定志向が間違って表に出ています。
「この程度の含み損なら、ナンピンして平均約定単価を下げてしまえば、
すぐに利確して逃げる事ができる」
努力が間違って表に出ています。
「結局前回のトレードで負けてしまった。。。
次のトレードで絶対挽回してやる!」
安定志向が間違って表に出ています。
「今月プラスで終える為には、今のロット数では無理だから、
次のトレードからは更にロット数を増やしていこう」
努力が間違って表に出ています。
ナンピンを繰り返し、時間をかけ、
なんとか利益確定で逃げる事ができたという経験は、成功体験ではありません。
過剰なロット数で一発逆転を狙い、
なんとか目標金額に到達したという経験は、成功体験ではありません。
あなたの潜在意識が実生活での成功体験をFXに持ち込み、
困難な状況を「我慢して受け止め、解決に向けて努力」させる為に、
間違った解決策を健在意識に表面化させただけです。
そもそも、ひとつひとつのトレードに固執しなければならない状況に
追い込まれている時点で、FXに対する考え、向き合い方が違っています。
意思疎通のできない相場に安定志向を求めること自体間違っていますし、
こちらがどれだけ努力しても、相場はそんな事全く気にかけていません。
もしもトレードに苦痛を感じているなら、
その元凶は何なのか自分で考えてみてください。
実生活での成功体験をそのままFXに持ち込み、
それが通用しなくて苦しんでいる場合がほとんどです。
私に限らず、勝っているトレーダーの多くは、
トレードという行為自体に、“苦” も “楽” も感じていません。
“無の境地”というと言い過ぎかもしれませんが、
トレードとは “ただ繰り返しているだけの行為” です。
トレードに自分の感情を押し付ける無意味さを心底理解できると、
トレードに苦痛を感じなくなります。
苦痛を感じなくなればトレーダーとしても一人前です。