チャートを監視している時、そしてポジションを持っている時の自分の心の動きに
関心のあるトレーダーは多くはないでしょう。
そして、相場という存在をどのように捉えたらよいのかについても
関心のあるトレーダーは多くはないでしょう。
そこで、相場と向き合う為の心構えを3つにまとめてみましたので、
是非、参考にしてください。
- 相場が主でトレーダーは従
- 相場に勝ち負けはない
- 相場に感情を持ち込まない
相場が主でトレーダーは従
相場の動きというのは、そこに参加している数多くのトレーダーが
それぞれの相場観、主義主張を持ってポジションを取った結果の繰り返しであり、
個人の力では到底抗う事の出来ない巨大の意識の集合体です。
よって個人トレーダーとしては、常にその動きに従って行動しなければいけません。
相場が上と言ったら上を向いて行かないといけないですし、
相場が下と言ったら下を向いて行かないといけないですし、
相場が動かないと言ったら動いてはいけないです。
自分で力で「どうにかしよう」「動かそう」なんて1ミリも思ってはいけません。
しかし、トレーダーとしてはどうしても心の奥底で、
「どうにかしたい」
と考えてしまうものです。
「いや、私は違います。相場が主である事は理解しています」
「相場をコントロールできないのは当然だよね」
おそらく多くのトレーダーは表層的な顕在意識レベルでは理解しているでしょうが、
では、潜在意識レベルではどうでしょうか。
今一度、相場を監視している時の、そして
ポジションを持っている時の自分の心を観察してみて下さい。
含み損をどうにかしたいけど、どうにもならないストレスで
何もできず思考が停止して、含み損を拡大させた事はないですか?
含み損を何とかしたくて、ナンピンで逃げる方法を考えた事ないですか?
動いていない相場なのに無理矢理エントリーを検討した事がないですか?
これらの思考は、”相場を支配したい”、”相場をコントロールしたい”
という気持ちの現れです。
これらの思考は、相場が主である事を納得ていない、認めていない
という気持ちの現れです。
要するに、頭で理解していても、心で納得していない状態です。
相場は波乗りに例えられる事もありますが、
巨大な波の流れに逆らっても溺れるだけです。
主が波の方向を決めたらそれに従って追随するだけです。
相場における主従関係は絶対であり、決して変える事はできないという事実を
心の底から認めて謙虚になりましょう。
そして相場に対する対抗心をなくしていきましょう。
相場に勝ち負けはない
相場は時には規則的に、時にはランダムに動きつつ、
連続的なチャートを形成していきます。
そうした相場の動きに、私たちは自分なりの “ルール” を持ち込んで
相場を計測しているだけです。
つまり、相場という相手に、勝手に勝ち負けの基準を持ち込んでいるだけで
相場自体には勝ちも負けもありません。
自分の決めたルール通りの動きをしたら勝ちで、
自分の決めたルールから外れた動きをしたら負けなんて、
それこそ自分勝手だと思いませんか?
そもそも相場には勝ち負けを競う固有の相手なんていませんし、
相場の向こうにいるトレーダーの中で、
私やあたたを認識している人なんて一人もいません。
そんな架空の相手に戦いを挑んで勝ち負けを決めようとしても、
どうせ誰も応えてくれないんですから、勝ち負けという発想自体が無意味です。
相場に感情を持ち込まない
以前、ニュース番組の特集で「ミセスワタナベ」が取り上げられていました。
そこでは普通の主婦がどのようにFXと関わっているのかを取材していたんですが、
常にチャートの動きが気になり、常にチャートの動きに一喜一憂し、
家事もままならない姿が映し出されていました。
多分その方は安定的に収益をプラスにする事はできていないでしょう。
勝手に喜怒哀楽を持ち込んで勝手に自滅するタイプです。
そこまでいかなくても、多くのトレーダーはチャートの動きに共鳴するように
自分の気持ちも振らされてしまいます。
例えば、相場の動きには “ダマシ” はつきものです。
代表的なのは、サポートライン、レジスタンスラインからのブレイクでしょうか。
過去に同じような価格で何度か下げが止まった位置があったので、
そこへサポートラインを引いて、そのブレイクを待っていたとします。
その後監視を続け、レートがサポートラインをブレイクしたので、
新しい下降トレンドが発生したと思い、ショートエントリーしたものの、
そのブレイクは一時的な動きにとどまり、
再びサポートラインより上の位置へレートが戻ってしまい、
そのブレイクはいわゆる “ダマシ” と呼ばれる現象となり、
仕方なく損切りしてそのトレードを終了させます。
そして、損切りとなって自分がダマされたことに対して
悔しく思ったり、悲しく思ったり、怒りを感じたりします。
これは誰でも経験がある事です。
しかしこれって、
何にダマされたんでしょうか?
誰にダマされたんでしょうか?
相場にダマされたんですか?
でも相場にはあなたを “ダマす” という意識なんて一切ありませんよ。
慣用的に使っているだけならよいのですが、
“ダマされた”という表現を使う事で自分を被害者の立場に置き、
自分自身を慰めようとしているのなら問題です。
相場を自我を持っている1つの生命体として捉えているのかもしれませんが、
先にも書いたように、相場とは巨大意識の集合体です。
そんな相手に、感情を持ち込もうが持ち込まなかろうが、
相場は相場の都合で動いているだけで私たちのご機嫌を伺う事はしません。
自分勝手に相場に喜怒哀楽を持ち込み、
感情がいつも以上に昂ったり、または、いつも以上に落ち込んだ状態で
はたして冷静なチャート分析、トレード判断が下せるでしょうか?
もちろん全くの感情の無いロボットになれと言っているのではなくて、
日常生活における感情の振幅の範囲内でトレードも行っていく事が
理想的だと言いたいんです。
何もトレードだけを特別視する必要はありません。
日常生活の一コマに過ぎません。
以上、相場と向き合う為の3つの心構えについてでした。