トレード手法は使用している時間軸に応じて、
もしくは、ポジションの保有時間に応じて
スキャルピング、デイトレ、スイング、
というように分けることができます。
そして、この中で最も人気が高いのがスキャルピングです。
ほとんどのトレーダーは、すぐに結果を求めたがりますので、
数分~数十分程度ポジションを保有するだけで、
且つ、
たくさんトレードを繰り返すことになるスキャルピングであれば、
サクサクと利益が積み重なっていくイメージがあるんでしょう。
しかし、、、
当然ながら、そんな都合よく利益が取れるトレーダーはほんの一握りです。
なぜなら、トレーディングというものは、
時間軸が短くなれば短くなるほど難しくなる
からです。
スキャルピングですから、
執行時間軸は1分足 or 5分足になるでしょう。
このくらいの時間軸になると、
しかも、ポジション保有時間が数分~数十分程度では、
チャートのランダム性が増し、テクニカルが効きにくくなります。
しかも、瞬時の判断が求められるので、
マインド的にも平常心を維持できていないと、
予想外の動きをするチャートに心が飲み込まれ、
ルール通りの行動が起こせなくなるケースも多いです。
さらに、それだけではなく、
もう一つ、別の観点からもスキャルピングが不利な点があります。
それはスプレッドです。
普段何気なく見ているスプレッドですが、
これがスキャルピングでは結構な重荷になってきます。
トレード回数を増やすほどスプレッドが無視できなくなる
スプレッドについては既にご存じと思いますが、
いわゆる、買値と売値の差のことですね。
上記はある日のGBPJPYのスプレッドですが、
買値が150.785で、売値150.770がとなっています。
そして、その差にあたる
150.785-150.770=0.015(1.5PIPS)
これがスプレッドに相当します。
このスプレッドは通貨ペア毎に異なり、
また、FX会社毎にも異なりますが、
現在は主要な通貨ペアであれば
概ね0.5PIPS~2.5PIPSほどに収まっているでしょう。
「このくらいの狭さなら、特に気にする必要はないのでは?」
と思うかもしれませんが、以下に例を挙げます。
スプレッドは分かりやすくするために
1PIPS固定としましょう。
スキャルピングでのスプレッドの影響度合い
仮に、1日に10回エントリーを繰り返すスキャルピングを行うことにします。
そして、1日の成績は5勝5敗、
勝ちトレードは+10PIPS利確、
負けトレードは-8PIPS損切りとします。
その場合、
勝ちトレードのトータルは+50PIPS、
負けトレードのトータルは-40PIPSとなり、
合計で1日+10PIPSの勝ちでその日を終えることになります。
それを1ヶ月20営業日繰り返したとすると、
+10PIPS×20日=+200PIPS
となり、月の成績としては十分と言えますね。
しかし、これをスプレッドの観点から考察してみると、、、
スプレッドが1PIPSあるので、
エントリーした途端に-1PIPSの含み損から始まります。
つまり、まずは+1PIPS思惑通りの方向へ動いてくれないと、
ゼロスタートにならないわけです。
これが毎回のエントリー毎に繰り返されます。
上記のスキャルピングでは、
1日10回エントリーしており、それが20営業日繰り返しますので、
10エントリー×20営業日=200回
という計算になり、
月に200回エントリーを行っています。
つまり、
1回のエントリーで1PIPS×200回エントリー=200(PIPS/月)
という計算になり、
月で200PIPS分ものスプレッド代を支払っている計算になります。
いかがですか。
月に200PIPS獲得するために、
同量の200PIPSものスプレッドを相手にしているんですよ。
見た目には200PIPSの利益ですが、
その実、スプレッドを考慮すると、
200PIPS(利益)+200PIPS(スプレッド)=400PIPS抜けを演じなければいけないことになります。
これは200PIPSを獲得する手法というより、
400PIPSが獲得できるくらいの、
より高度な手法を構築する必要があると言えるでしょう。
スイングでのスプレッドの影響度合い
では次に、2日に1回エントリーするスイングの場合を考えてみましょう。
勝ちトレードは+80PIPS利確、
負けトレードは-40PIPS損切りとします。
2日に1回のエントリなので、月20営業日では10回エントリーすることになり、
それが5勝5敗で終えたとします。
その場合、
勝ちトレードのトータルは、月に+80PIPS×5回=+400PIPS、
負けトレードのトータルは、月に-40PIPS×5回=-200PIPSとなり、
+400PIPS-200PIPS=+200(PIPS/月)
となり、月の成績としては十分と言えますね。
これをスプレッドの観点から考察してみると、、、
月に10回しかエントリーしていないので、
1回のエントリーで1PIPS×10回エントリー=10(PIPS/月)
という計算になり、
月に10PIPS分しかスプレッド代を支払っていないことになる計算です。
いかがですか。
月に200PIPS獲得するために、
僅か10PIPSだけのスプレッドを相手にしているだけです。
見た目には200PIPSの利益ですが、
その実、スプレッドを考慮すると、
200PIPS(利益)+10PIPS(スプレッド)=210PIPS抜けを演じていることになります。
この程度ならスプレッド分は、ほぼほぼ無視しても大丈夫で、
200PIPSを獲得する手法を構築すればよいでしょう。
上記を比較すると、
スキャルピングでは+200PIPSの利益のために200PIPSのスプレッドを支払い、
(利益分の100%に相当)
スイングでは+200PIPSの利益のために10PIPSのスプレッドを支払っています。
(利益分の5%に相当)
どちらが利益を上がるのが難しいか一目瞭然ですね。
エントリー回数を増やせば利益も増えると思っている人が多いですが、
実際にはそうとは限りません。
このように、エントリー回数を増やせば、
その分、多くのスプレッドを相手にしなければならず、
手法としても難しくなります。
スキャルピングのやり方にもよりますが、
個人的には毎日頻繁にエントリーを繰り返す
薄利薄損のスキャルピングはお勧めしません。
できれば、1日のトレード回数は多くても3~4回までに抑えた
デイトレよりの手法にしたほうが無難でしょう。
薄利薄損のスキャルピングを希望する方は、
上記のスプレッドについて真剣に考えてみてください。