将棋を指した経験が全く無い方に、特定の盤面を見せても、
それが先手有利なのか or 後手有利なのか判断することはできません。
当然でしょう。
駒の動かし方を知らない、または、動かし方しか知らない状態で、
正しい形勢判断ができるはずはありません。
そして、将棋初心者でも正確に判断することは困難です。
級位者の形勢判断なんて全くあてにならないことは私も経験済です。
何度も対局を繰り返し、経験を重ね、級位者から段位者へと棋力が上がっていくにつれて
徐々にそうした形勢判断が正確になっていくわけです。
一応私は段位者ですが、自分の将棋でも、他人が指している将棋でも、
局面を見ればそれなりに形勢判断をできるようにはなっていると思います。
そして、局面の先手有利、後手有利を判断できるようになれば、将棋の楽しみ方も増えてきます。
「今は後手有利だから、先手が起死回生の一手を放ってくるかも」
「ここまで先手有利になってしまったら、もう後手は挽回することは難しいだろう」
など、いろいろ思考することも楽しみの一つになります。
しかし今の将棋界では、他人が指している将棋に関しては、形勢判断をする必要がなくなっています。
なぜなら…AIが形勢判断をしてくれるからです。
現在はNHKやABEMAなどの幾つかのメディアで将棋棋戦が放送されていますが、
必ず画面の上部に”AIによる形勢判断のバー“が表示されるようになっています。
こんな感じです。

上記では[先手40%、後手60%]と表示されていますね。
これは先手の有利度合いが40%、後手の有利度合いが60%という意味です。
要するに今の局面は、後手の勝つ確率が60%とAIが判断しているわけです。
つまり、同じプロ棋士同士が対局すれば、10回に6回は後手が勝つという意味です。
これが70%にまで上げれば10回に7回は勝つでしょうし、
90%にまで上がれば10回に9回は勝つことになります。
私は将棋が趣味であり、将棋中継もたまに視聴しますが、おおよそこの数値は合っている印象です。
対局が始まる前は当然[先手50%、後手50%]です。
そこから盤面が進むにつれてこの数値が変化していくわけですが…
仮に…プロ棋士同士が[先手80%、後手20%]の局面から始めたとしたらどうなると思いますか?
もちろん、先手が勝つ確率が80%であり、断然先手有利です。
プロの公式戦は当然ながら駒の配置はまだ何も動かしていない初期配置から始まるので、
そんな[先手80%、後手20%]から対局が始まるなんて、
正月に行う将棋バラエティー番組くらいしかないですが、
仮にそんな公式戦があったとしたら誰だって先手番を望みます。
だって、勝てる確率が高いんですから。
トレードでは“有利な局面”を選べるという事実
勝てる確率が高い局面から始めることができれば嬉しいですね。
残念ながら、将棋という真剣勝負の中では、そんな願いは叶いません。
しかし、トレードという真剣勝負の中では、そんな願いは…叶うんですね。
では、トレードにおける”勝てる確率が高い局面“とはどのような局面なのか分かりますか?
そうですね、トレンドが発生している局面ですね。
チャートという世界は時間経過と共に少しずつグラデーションを付けながら、
様々なパターンを描いていきます。
トレンド、レンジ、ボックス、乱高下、ランダム、凪etc…
仮にトレーダーが先手、相場が後手だったとすると、
トレンド相場というのは、[先手60%、後手40%]という状態です。
更に言えば、トレンドが綺麗であるほど、そして、トレンドが分かりやすいほど、
その確率は[先手70%、後手30%]⇒[先手80%、後手20%]と上がっていくことでしょう。
それに対してレンジ相場やボックス相場というのは、[先手50%、後手50%]で
有利不利がまだ決まっていない状態と言えます。
将棋と違ってトレードでは自分で有利な局面を選べます。
言い換えると、自分で有利な局面になるまで待つことができます。
ならば、その優位性を十分に考慮したトレーディング戦略を目指すべきなんですね。
もちろん、トレンドの定義は各自で考える必要がありますが、
第一は先にも書いたように見た目が綺麗であること、分かりやすいことです。
“綺麗”や”分かりやすい”を個人の感覚/裁量で判断しても構いませんが、
そうした感覚/裁量だとその日によって判断基準がブレてしまう危険性もあるので、
できれば何かしらのテクニカル/インジケーターを使って計測/定義づけしたほうが判断基準がブレず、
毎回同じ基準をクリアーしたトレンドだけを相手にできるので、都合が良いでしょう。
例えば、複数の移動平均線の傾き具体だとか高値安値の並びだとか、
そのような基本的なテクニカルでも十分に優位性を発揮できます。
以下は先週のとある日の1時間足チャートです。
私は普段から20個の通貨ペアをチェックしているんですが、
その中から移動平均線の傾き具合が明確で、且つ、
高値安値の並びが分かりやすいチャートを4つほど選択し、
日本時間の夜18時に同時にエントリーしてみました。
EURJPYの1時間足チャート

GBPJPYの1時間足チャート

USDCHFの1時間足チャート

EURCHFの1時間足チャート

青丸で囲ったところでロングエントリー、
赤丸で囲ったところでショートエントリーしていますが、
その時点ではどの通貨ペアも明確なトレンド状態だと思いませんか?
いわゆる[先手60%、後手40%]状態です。
上記は1時間足をメインにしており、あくまでも参考トレードなので、
エントリーから24時間後、24本のローソク足経過後にまとめて決済しましたが、
このような状態であれば、細かいエントリータイミングを計らなくてもトレンドが勝たせてくれます。

トレードでは勝つか負けるか、五分五分の勝負を挑む必要はありません。
勝ちやすい局面だけを淡々と選んでいく姿勢が重要です。
明確なトレンドという”有利な盤面“だけを相手にしてその他は捨てる。
その徹底こそが長期的な勝ちに繋がります。





