金(ゴールド)価格の高騰が止まりません。

年初は1500(ドル/オンス)だったんですが、
現時点では1900(ドル/オンス)台にまで上げており、
2011年に付けた高値を突破して過去最高値を更新しています。

投資家たちの間では、
近い将来には2000(ドル/オンス)もあるかも
という思惑もあったんですが、
近い将来どころか、
もしかしたら今週中にも到達するかもしれない勢いになっています。

日本円で換算すると、
現状では7000(円/グラム)を突破しており、
こちらも最高値を更新しています。

そこで、
なぜこの時期に金(ゴールド)が上昇しているのか?
そして、その傾向はいつまで続くのか?
私達は金(ゴールド)を持つべきなのか?

これらについて個人的な見解を述べておきます。

金(ゴールド)価格が高騰している要因は?

金(ゴールド)は景気が悪くなったり、
世界情勢が不安定になると上げやすくなります。

そして、今がまさに、”その時期”ですが、
その発端となったのが新型コロナウィルスですね。

新型コロナウィルスにより経済活動の停滞を余儀なくされている状況の中、
世界各国は回復までの道のりが示せない状況です。

当初は”新型コロナウィルスとの戦い”というシンプルな構図だったんですが、
それが徐々に政治的な色を帯びてきます。

そして、以下の問題が浮上してきました。

  • 量的緩和
  • 米中対立

この2大要因によって金(ゴールド)の上昇が決定的となりました。

量的緩和

世界各国は経済活動の停滞から回復するための政策として
量的緩和を推し進めています。

量的緩和とは簡単に説明すると、
金融市場に大量の資金を供給することです。

紙幣を大量にばら撒くことで民間の金融機関の残高が増え、
それを国民や企業に貸し付けて
経済活動を活性化させることを目的としてます。

量的緩和の良し悪しの議論は、この際、別として、
こうした紙幣のばら撒きによる過剰流動性は
紙幣自体の価値を低下させます。

本来は国の信用の上に成り立っている紙幣ですが、
紙幣を刷れば刷るほど、その価値は希薄になります。

となると、価値が下がった紙幣を持つより、
価値が下がらない金融商品、
つまり、金(ゴールド)を持っていた方が
自身の資産の目減りを抑えることができる
と判断する企業、投資家が増えるわけです。

こうして金(ゴールド)が買われ、
その価格が上昇していくことになります。
money20080301

米中対立

新型コロナウィルスを発端として
中国と世界各国との関係性が悪化していますが、
特に米中対立は深刻化しています。

要因を挙げればきりがないですが、

  • 両国領事館の封鎖問題
  • 南シナ海での領有権問題
  • 中国の通信企業の排除問題
  • 香港問題

等々。

そして、これらの問題に対して
英、欧州、オーストラリア、アジア諸国などは
米国に賛同する動きも出ています。

中国はこれら全ての問題に当然のごとく反発して、
「全ては相手国が悪い」という姿勢で臨んでいます。

現状、明らかに冷戦状態ですが、
一歩間違えたら冷戦では済まされない状況になっていく可能性も
否定できません。

先の見通せない不安な世界情勢の中、
自分の資産を守るためには、
どこかの国に依存した紙幣ではなく、
どこの国にも依存していない金(ゴールド)を選んだほうが無難
と判断する企業、投資家が増えるわけです。

こうして金(ゴールド)が買われ、
その価格が上昇していくことになります。
tairitu20080301

金(ゴールド)と株の関係性について

本来であれば、
リスク資産の代表として株が挙げられ、
安全資産の代表として金(ゴールド)が挙げられます。

よって、本来であれば、
株と金は逆相関の関係にあり、
株が上がれば金(ゴールド)は下がり、
株が下がれば金(ゴールド)は上がります。

しかし、現在は株も金も上がっています。

NYダウの日足チャート
nydow20080303

金(ゴールド)の日足チャート
gold20080304

逆相関の関係にあるはずの株と金が
なぜ同時に上げているのか。。。

その答えは先に説明した量的緩和にあります。

要するに、
量的緩和でばら撒かれた資金が行き場を求めて
株に向かっているんです。

実際は株だけではないです。
他にも不動産や原油、大豆などの穀物、
もちろん、金(ゴールド)にも向かいますし、
ビットコインなどの暗号資産にも向かうでしょう。

こうして全ての金融商品の価格を押し上げて
なんとかしてコロナショックから
国民、企業の資産を守ろうとしているわけです。

しかし、、、
こうした量的緩和による価格の上昇というのは、
金融商品本来の価値を反映した価格ではなく、
量的緩和という人工的な無価値な上昇なので限界があります。

それこそ、リスク回避となれば、
リスク資産の代表である株は真っ先に売られるでしょう。

量的緩和による人工的な買い上げと
リスク回避による人間心理に基づく売り払いと
どちらが強いのか、常にその綱引きです。

それに対して、金(ゴールド)の上昇は、
量的緩和とリスク回避の相乗効果によるものであり、
下げる要因がありません。

現状は株も金(ゴールド)も上げていますが、
今後の継続性でいえば金(ゴールド)の方が分があるでしょう。

米の大統領選まではNYダウは崩れないでしょうが、
米の量的緩和は2022円までは続けると公言しました。

そういった意味でも金(ゴールド)は当面は堅調に推移しそうです。

金(ゴールド)の週足チャートで買い場を探す

量的緩和と米中対立、
そして、それらの継続性から判断すると、
今後も金(ゴールド)の価格は上昇する可能性は高いです。

しかし、最高値を更新し続けている今から買い始めるのは
やはり心理的に難しいでしょう。

ではどこで買えばよいのか。。。

金(ゴールド)は短期売買目的ではなく、
長期保有するのが目的ですので、
まずは現在の週足チャートを確認してみましょう。

金(ゴールド)の週足チャート
gold1w20080305
ファンダメンタルズ的には上向きが優勢であっても、
テクニカル的には明らかに買われ過ぎになっています。

RSI(14)も83で過熱感たっぷりです。

このような状況の中で買っていくのは高値掴みの可能性もあるので、
できれば一旦調整で下げてくれるのを待ったほうが良いでしょう。

しかし、”押目待ちに押目無し“の格言のように
このままズルズルと上げ続けてしまっては
いつまでたっても買えませんし。。。

純金積立をやるつもりであれば、
今から買い始めても良いでしょうが、
少しでも安く買いたいのであれば、
やはり、テクニカル的な落ち着きを待ちたいです。

そのポイントとしては、
RSI(14)が50を割ったあたりからか、
もしくは、できれば30付近まで下げるようであれば、
そこから買っておきたいですね。

あとは、前回の上値抵抗線であった赤色ライン付近まで
下げるようであれば、そこから買っても良いでしょう。

ちなみに、オレンジラインは2011年に付けた前回の高値です。

ここでレジサポ転換して上げ続けることもなくはないですが、
過熱感が強い状況の中でその可能性は低いと思われます。

個人的には、2000ドルまで上げたら、
そこで一旦の目標達成となり、
大きめに下げるのではないかと予想してます。

究極のリスク回避はドル買い?

今後も金(ゴールド)は買われ続ける可能性が高いですが、
この前のコロナショックでは気になる動きも見られました。

通常、世界的なリスクが発生した場合、
金(ゴールド)が買われるのが一般的です。

しかし、先のコロナショックでは、
前例を見ないチャートの動きを見せました。

以下は、コロナショックが本格化した今年3月の日足チャートです。

上から順番に、NYダウ、金(ゴールド)、USDJPYで、
横軸の時間軸は合わせてあります。
chart20080305
コロナショックが本格化した3月上旬までは
NYダウ下落、金(ゴールド)上昇、USDJPY下落
という教科書的なリスク回避の動きでした。

しかし、コロナショックが前例を見ない
異常なリスクだと市場関係者が認識しだして以降は、
NYダウ下落、金(ゴールド)下落、USDJPY上昇
というイレギュラーな動きになっています。

つまり、リスク回避にも関わらず、
金(ゴールド)が売られ、USDJPYが買われたんです。

これはどういうことかというと、
世界を揺るがすほどの究極的なリスクに直面した場合、
機関投資家、大口投資家たちは、
最終的にはUSDを持っておきたい“という
心理が働いていたことを意味しています。

やはり、世界で一番信用があるのは
基軸通貨であるドルなんですね。

米もドルの基軸通貨としての役割を放棄するとは考えられません。

現状、世界各国で紙幣を刷りまくっていて、
紙幣自体の価値は薄くなっていますが、
それでも相対的に考えて、最終的に残るのは、
ユーロでもなく、ポンドでもなく、円でもなく、元でもなく、
やはり、ドルだという認識なんでしょう。

もしかしたら、ドルの前では
金(ゴールド)の輝きすら薄れるのかもしれません。
goldbars20080306

資金(円)を持つという感覚ではなく資産を持つという感覚で

新型コロナウィルス、量的緩和、米中対立、
これらはどれも一朝一夕で解決できる問題ではありません。

非常に残念ですが、世界情勢は今後も悪化し、
不安定な方向へ進んでいく可能性が高いです。

もちろん、日本に住んでいても安心できません。
日本の財政赤字はもはや解決できないレベルに到達しています。

政治面でも経済面でも外交面でも
何が起こっても不思議ではない世界観になっています。

そんな状況の中で、
自分の資産をできるだけ守るにはどうしたらよいのか。

その答えの一つが”分散“です。

個人的には上記に上げた理由などから、
金(ゴールド)を保有すべきだと思っています。
(そして、世界の基軸通貨であるドルも)

最もやってはいけないのは”円だけ保有“です。
特に、銀行の普通預金口座に自分の資金を全て預けている状態は最悪です。

絶対に起きて欲しくないですが、
日本に財政破綻、戦争などが起きてしまったら、
その預金の全てが失われてしまう危険性もあります。

だからと言って、
円関連の金融商品だけに分散しても意味はないです。

日本人は他国と比較すると、
どうしてもホームバイアスがかかりやすい傾向にあり、
日本円、日本株、日本の不動産
といった円関連の金融商品だけに分散する人も多いですが、
それだと意味がないです。

同じく、日本に不測の事態が起きたら、
それらの価値は著しく目減りします。

日本では円が使われますので、円になじみが深いですが、
世界人口の比率で言うと、円を使っている人口は2%も存在しません。

つまり、円をベースにした金融商品だけでは、
安定性という意味では脆弱だと言わざるを得ません。

意識としては、
資金(円)を持つという感覚ではなく資産を持つという感覚が必要です。

そして、その資産の一端が金(ゴールド)になります。

どうしたら自分の資産が守れるのか、
どうしたら自分の資産が増えるのか、
という視点で世界に目を向けると
新たな気づきが得られるかもしれませんよ。

PS.
それにしても、、、冷静に考えたら
金(ゴールド)の価格が1グラムで7000円って高いですよね。

1円玉1個分の重さで7000円もするんですから。