トレーダーの中には、損切りできなくて悩む人がいますが、
そもそも “損切りできなくて悩む” という意味が分かりません。

損切りできない事への解決方法は、とても簡単です。

それは、

「エントリーと同時に、またはエントリー直後にストップ注文を入れる」

これだけです。

たったこれだけで、 “損切りできない” という悩みから解放されます。

これ自体は当たり前の行為で、アドバイスでも何でもないですが、
多くのトレーダーはストップ注文を入れてない状態でポジションを持っています。

全てのトレードで、予定通り順調にレートが動いてくれるはずもなく、
中には当然、思惑と反対方向へレートが進んでしまう事も頻繁に起こります。

そして、ストップを設定していないと、
意志の弱い人はそのまま含み損を拡大させる事になり、

 「どうしよう、どうしよう

と精神的に不安定になったままで日々悩み続けます。

目の前に “ストップを設定” という誰にでもできる解決方法があるにも関わらず、
それをやらずに「どうしよう、どうしよう」と悩み続ける。。。

心と行動がチグハグである事に気づいていますか?
cutloss14100801

実は私もFX初心者だった頃は、ストップの設定をしていませんでした。

でも、それによって損切りできなくて悩んでいたのではなくて、
私の場合は、もっと単純な理由で、単に

面倒くさいから

でした。

たった数秒、たった数秒にも関わらず、
ストップの設定の為にキーボードを打ったり、マウスをクリックするのを
面倒くさがってやってなかったんですね。

多分当時の私と同じように「面倒だから」という理由で
ストップの設定をしていないトレーダーも多いと思います。

しかし、ストップを設定しないと、
予定していた位置よりも遅れて損切りする事になります。
「もう少し待とう」という淡い期待を持ってしまいます。
下手な思考展開になると、ナンピンという手段に手を染める危険性もあります。

私の今までの経験では、有無を言わさずに損切りを実行した方が
手法的にも精神的にも、はるかに優位性があります。

今の私には、思惑と反対方向へ動いてしまった時には、
損切り以外の選択肢はありません。

なぜならば、エントリー直後にストップを設定するのが習慣化していますので、
損切り以外の選択肢を持ちえていないからです。

損切りできない心理をもう少し深く探ってみると

なぜ損切り “できない” のか、
なぜ損切り “しない” のか、

もう少し具体的に自分の心に問いかけてみると、それは
「自分の資金が減ってしまう現実を自分自身で確定させてしまう事を嫌っている」
という事になります。

損を確定させるとは、直接的に自分の資金が減ることを意味しますので、
誰だって嫌なものですし、誰だって不快に感じますし、
何とか避けたいと自然に思ってしまいますので、
そこで余計な考え、迷い、悩みが生じ、
損切りという行為を後回しにする思考が表面化してしまいます。

しかしこれは、損切りという行為のデメリットだけに
心がフォーカスしている状態です。

損切りという行為は、デメリットだけではなく、それ以上にメリットがあるからこそ
その行為の優位性が多くのトレーダーによって語られているんです。

確かに損切りというのは、短期的には資金の微減を意味しますが、
中長期的には、成績の安定、大負けの防止、資金効率の良さなどの
メリットをもたらしてくれます。

そちらへ心をフォーカスしていきましょう。

例えば以下のグラフは、あるFX会社が提供している、
今週が始まる前までのUSDJPYの未決済のポジションです。
fx14100802
USDJPYは8月以降は一方的な上昇トレンドとなっていましたが、
その間には多くのトレーダーがロングポジションを持ち、
また、別のトレーダーはショートポジションを持ったでしょう。

このグラフでは、103円台から110円台までのポジションが載っていますが、
グラフの左側の青緑色の領域はショートの未決済ポジションで、
グラフの右側のオレンジの領域はロングの未決済ポジションです。

つまり、この8月以降の一方的な上昇の過程で、
ショートポジションの青緑色含み損の領域であり、
ロングポジションのオレンジ色含み益の領域となっています。

明らかにオレンジ色よりも青緑色の領域が大きいのが分かりますね。

つまり、
ロングポジションはこの上昇過程で、すぐに手仕舞っていて、
ショートポジションはこの上昇過程で、いつまでも保有している、
という傾向が、このグラフから読み取れるわけです。

いわゆる、統計的には損大利小になっているんですが、
この青緑色の領域のショートポジションというのは、含み損であり、
おそらくストップを設定していないポジションが大半だと思われます。

103円台に乗せた8月から、110円台まで乗せた今月10月までの上昇トレンドを
想定した上での、シナリオとして考えた上での含み損という事は
ほぼ有り得ないでしょう。

ここに表示されている青緑色のショートポジションを持っているトレーダーは、
ストップを設定しなかった為に、思惑と反対方向に進んでしまった上昇トレンドを
成すも術なく、ただ「どうしよう、どうしよう」と見送っているトレーダー達です。

そして、今もなお苦しんでいるトレーダー達です。

あなたはこの領域に入りたいですか?そんな訳ないですよね。

でも、ストップを設定しないとは、
この青緑色の領域に入る可能性を自ら高くしている事と同意なんですよ。

このグラフを見ると、7円、つまり700PIPSの逆行に
身動きが取れなくなっているトレーダーたちの悲鳴が聞こえてきませんか?

損切りとは微損を受け入れる代わりに、大敗、退場の可能性を消す行為です。

「損切り注文なんて入れなくてもいいや」
なんて考えが頭をよぎったら、このグラフを思い出してください。

更に別の例を挙げましょう。

以下は、2011年の8月~9月にかけてのEURCHFの4時間足チャートですが、
途中、9月6日に有り得ないほどの超巨大陽線が出現しています。
fx14100803
3年前のチャートですから、知っている人は少ないかもしれませんが、
これは、
スイス国立銀行が、EURCHF=1.20を最低為替レートに設定して、
それ以下の水準は一切容認せず、無制限の為替介入を行う

と宣言した時の超巨大陽線です。

この突然の宣言を受けて、EURCHFの為替レートは
1.1付近から1.2超えレベルまでの1000PIPS以上の値幅
わずか1時間ちょっとで登りつめていきました。

1000PIPSの上昇というのは、USDJPYでいうと、110円から120円に相当し、
その10円幅をわずか1時間足らずで上昇したという事です。

私は偶然その時のチャートをリアルタイムで見ていましたが、
いきなり、ほぼ垂直の90度真上の方向へレートが上がっていく光景を目にして、
チャートシステムが故障したのか、と勘違いしたくらいでした。

もしもこの時に、EURCHFのショートポジションを
ストップを設定しないで持っていたらどうなっていたでしょう。

一瞬にして証拠金維持率を割り込んでマージンコール、強制決済となって
口座資金のほとんどを無くす事になっていたはずです。

例えば、100万円に対して10万通貨単位のポジションを持つのは
資金管理の面では、特に問題はないでしょう。

しかし、1PIPSで約1000円上下すると換算すると、
1000PIPSでは約100万円分の動きとなり、
口座資金の100万円分なんて、すぐに吹っ飛んでしまいます。

実際、この時のEURCHFのショートポジション保有者や
CHFJPYのロングポジション保有者で、
ストップを設定してないトレーダーのほとんどが
大打撃を受けたというニュースが当時流れていました。

為替市場では事前に分かっている経済指標だけでなく、
事件や事故などの突発的な出来事に遭遇する危険性もあります。

ストップを設定しないとは、
シートベルトをつけないで車の運転をしているのと同じです。

事故に遭遇した時には、シートベルトの着用が生死を分けます。

為替でも同じで、突発的な出来事から守ってくれるのはストップの設定です。

「損切り注文なんて入れなくてもいいや」
なんて考えが頭をよぎったら、このチャートを思い出してください。

行動というのは習慣化してしまえば、
逆にそれをやらなかったら、違和感を感じるようになります。

良い習慣ならなおさらです。

FXでストップの設定をする事は良い習慣です。

勝ち組トレーダーなら誰でもやっている当たり前の習慣ですので、
勝ち組に入りたいのなら、勝ち組と同じ習慣をやっていきましょう。