情報商材に書かれている手法でも、ネット上から見つけた無料の手法でも
とにかくその具体性にこだわる人がいます。
「ボリンジャーバンドが開き始めたらエントリーしましょう」
—具体的にどのくらいの角度になったら開き始めたといえるの?
「レジスタンスラインをブレイクしたらエントリーしましょう」
—具体的に何PIPS越えたらブレイクと判断するの?
「ストキャスティクスが上を向いたらエントリーしましょう」
—具体的に直近のローソク足何本分、上を向いていれば良いの?
おそらく誰にでも分かる “具体的な数字” でその条件の答えを教えてほしい
と思っているのでしょう。
しかし、残念ですが手法を構成する一つ一つの条件というものは、
固定的に決まりきった数字の答えが出るようなものではなく、
その時のチャート形状などから判断しなければいけない要素です。
決して同じ形状を再現しないチャートという世界において、
数字で決められた固定の条件だけでトレードしていては、
どうしてもその時のチャート形状と合わない場面が出てきます。
というか、合わない場面の方が多いでしょう。
押目買いのつもりが、固定の条件だと押目の位置からズレてしまったり、
利大を目指すつもりが、固定の条件だと決済位置が予定より下がってしまったり。
ボリンジャーバンドの拡大だとかレジスタンスのブレイクなどは
その手法の方向性、方針を示しているのであって、
そこに数字の答えを求める事自体無意味です。
もちろん中には数字で具体的に示されている条件もあるでしょう。
しかし、その数字でさえ100%従わなければいけないという意識はどうでしょうか?
例えば、RSIが30以上になったらロングエントリー、というルールがあった場合、
では、29.9では絶対にエントリーしては駄目なのか、
というと決してそうではありません。
その時のチャート形状によっては
RSIが29.9でエントリーしても良い場面もあります。
逆に、その時のチャート形状によっては
RSIが30を越えてもエントリーを見送った方が良い場面もあるでしょう。
あまり日常的にルール逸脱を繰り返していては、
手法の意義を軽んじる事になり、それはそれで問題ですが、
30のような固定の数字に、ことのほか意味を持たせる必要はないです。
この辺りの感覚は経験によって養われるスキルだといえるでしょう。
また、それぞれの条件を単独で考えても意味は無いです。
通常は複数の条件を持ち寄って1つの手法が完成されますが、
条件間の関連性を把握しつつ、
総合的にエントリーすべきかどうかを検討する必要があります。
先の例で言えば、
サポートラインが明確になっていて、そこからの反転上昇のタイミングであれば、
RSIが29.9であっても、リスク選好で早めにエントリーした方が
損切り幅も狭く、利大を望めるケースもあるでしょう。
また、過去に何度も止められたレジスタンスラインがすぐ近くにあった場合、
RSIが30を越えていてもエントリーを見送って、
まずはレジスタンスラインのブレイクを待った方が
余計な損切りトレードを減らせるケースもあるでしょう。
あらゆるチャート形状を想定した固定の条件設定は不可能です。
その時のチャート形状に合わせて柔軟に、臨機応変に対応するのが自然です。
しかしここでも再確認しておきますが、
あまり日常的にルール逸脱を繰り返していては、
手法の意義を軽んじる事になり、それはそれで問題です。
情報商材に書かれている手法でも、ネット上から見つけた無料の手法でも
まずは、そのルールどおりにトレードをやっていきましょう。
するとトレード回数をこなしていくうちに
自分なりに微妙な “ズレ” に気づく事になるでしょう。
それを自身の感覚で少しずつ調整していく事が裁量判断の一歩です。
自分のルールを逸脱しない範囲での裁量とはどの程度の事を言うのか、
どこまでがルール内でどこからかルール違反なのか
それをトレードを繰り返す事で身を持って体験して、
その感覚を掴んでいく必要があります。
これは教えられて分かるような感覚ではありません。
自分でトレードした事で気づく感覚です。