時々以下のような相談を受けます。
「デモトレードでは収益がプラスになるんですが、
リアルトレードに移行すると収益がプラスになりません」
デモトレードであれだけ好調だった収益が、
リアルに移行した途端に不調になる…
多くのトレーダーが経験することでしょう。
デモとリアルの最大の違いは
“実際にお金を投じているか否か”
です。
お金という存在は人の心を大きく揺り動かします。
その事実を理解せず、自分の心と対話していないと
大きなミスを犯す可能性が高まります。
リアルトレードになると上手くいかなくなる4つの原因
何故リアルトレードになると上手くいかなくなるのか…
以下では、その原因をメンタル面から3つ、テクニカル面から1つ考察してみます。
- 安全・確実に儲けたいという意識
- 恐怖心で判断を誤る
- 経験値の少ない相場観に支配される
- たまたま相場状況が良かっただけ
リアルトレードになると悪い方向へ心理が働くことになります。
期待値>1の手法を使っているとしても、
悪い心理が期待値<1に変えてしまいます。
その心理を克服できるかどうか、
その壁を乗り越えられるかどうかが重要です。
安全・確実に儲けたいという意識
人間という生き物は実際に身銭を切ると、
どうしても安全・確実を求めてしまいます。
デモではチャートに従い、あれほど気楽にエントリーしていたのに
リアルになると余計な思考が浮かび上がってきます。
「ここでエントリーして良いのだろうか?
ちょっと不安だからもう少し待とう。ローソク足1本だけ待とう。」
と判断したら、スルスルと上昇しはじめて慌ててロングする…
これでは予定していたエントリー位置より遅れてしまい、
本来よりもリスクリワード比の悪いトレーディングになってしまいます。
さらには、
「もう十分に含み益が増えたけどまだ利確の条件に一致していない。
でもここで反落したらせっかくの利益が台無しになってしまう」
と判断してルール外で決済してしまう…
これでは予定していた決済位置より早くなってしまい、
やはり、本来よりもリスクリワード比の悪いトレーディングになってしまいます。
正しくリスクを取るから正しくリワードが得られます。
“相場に安全・確実など存在しない”
という真理を改めて自分の心に落とし込んでリアルトレードに向かいましょう。
恐怖心で判断を誤る
人間には様々な怖いものが存在しますが、
万人に共通する恐怖として”お金を失う事“を挙げることができるでしょう。
そして、恐怖に直面した時の人間の思考は最低レベルにまで落ち込みます。
想像してください。
断崖絶壁に立たされた状態で冷静にチャート分析できるでしょうか?
拳銃を突き付けられた状態で冷静にチャート分析できるでしょうか?
妻を誘拐された状態で冷静にチャート分析できるでしょうか?
それらと同様です。
含み損が拡大している状態で冷静にチャート分析できるでしょうか?
リアルマネーが減っているという事実を突きつけられ、
含み損が恐怖とイコールになると、
手足がすくんで機敏さが失われ正しい判断ができなくなります。
こうなってしまうと、まともなトレーディングはできず、
デモではちゃんと損切りできていたにも関わらず、
リアルでは含み損を放置するという愚策に走ったりします。
後で冷静になって振り返ると、
「なんであそこで損切りしなかったんだ?」
と疑問に思うんですが、
その場では恐怖心からまともな思考状態ではないので
間違った判断を下してしまいます。
恐怖心を克服するには、
含み損と恐怖はイコールではないと認識し、
恐怖を感じないくらい小さなロット数から始めて、
徐々に恐怖心を飼い慣らす、恐怖心を正しく受け入れていくのも一つの方法です。
“相場に恐怖心は最大の敵”
という真理を改めて自分の心に落とし込んでリアルトレードに向かいましょう。
経験値の少ない相場観に支配される
相場観というものは一朝一夕で身に付くものではありません。
何年にもわたり様々な相場を経験してから
ようやく”それなりの“相場観を持てるようになっていくものです。
にも関わらず、おそらく数ヶ月間程度であろうデモトレードの経験くらいで
真っ当な相場観など養われません。
経験値が少な過ぎます。
それは相場観とは言わず、単なる先入観です。
先入観とは、個人的な固定観念であり、
「こうなれば次はこのように動くだろう」
という自分勝手な方程式とも言えます。
このような先入観に拘ると、チャートが歪んで見えてきます。
チャートを見ている時に
「上がるはずだ」と思って見ていると不思議とそのように見えてきますし、
「下がるはずだ」と思って見ていると不思議とそのように見えてきます。
ニュースを見ている時に
「上がるはずだ」と思って見ていると不思議と上げ材料だけに目が行きますし、
「下がるはずだ」と思って見ていると不思議と下げ材料だけに目が行きます。
相場に接する機会が増えてくると自然と相場観を持ってしまいますが、
それを自分のトレーディングに取り入れるのは二の次です。
まずはデモトレードで鍛えた期待値>1のトレーディングだけに集中しましょう。
正しい適切な相場観は後から付いてきます。
“相場に初心者の相場観は不要”
という真理を改めて自分の心に落とし込んでリアルトレードに向かいましょう。
たまたま相場状況が良かっただけ
デモトレードで勝てていたのは自分の実力ではなく、
“たまたま相場状況が良かっただけ“という可能性もあります。
相場状況の良し悪しは
大きな時間足のチャート形状から判断することもできます。
私のこれまでの経験では、
日足チャートが分かりやすく綺麗なトレンドを形成している時は、
デイトレでもスイングでも成績が良くなる傾向があると分かっています。
逆に、
日足チャートがランダムに動き方向感が無い時には
デイトレでもスイングでも成績が悪くなる傾向があると分かっています。
デモトレード期間が3ヶ月間くらいだったとしても
そのくらいの期間なら日足でずっとトレンドが続いていることもあり、
そんな幸運な相場状況であれば、脆弱な手法でも脆弱なマインドでも、
割と簡単に勝ててしまうことも有り得ます。
例えば、今年のドル円は上昇トレンドの期間が長いので、
ロングしておけば大体勝ててしまいます。
それを自分の実力と勘違いして、
リアルトレードに移行して別の通貨ペアでトレードを行うと、
痛い目に合うでしょう。
自分で意識して日足チャートがトレンドの通貨ペアだけを選択してトレードし
それで収益プラスになっていたら良いんですが、
おおよそのトレーダーは日足や4時間足などの大きな時間足のチャートを見ません。
マインドには絶対の自信があるのにリアルトレードで収益プラスにならないなら
日足チャートなどの大きな時間足を確認してみましょう。
日足レベルでのトレンド、レンジ、乱高下、ランダムなど、
様々な相場を経験したうえで収益プラスになっていたらかなり有望です。
“大きな時間足の環境認識は必須”
という真理を改めて自分の心に落とし込んでリアルトレードに向かいましょう。
以上、リアルトレードになると上手くいかない原因を
メンタル面から3つ、テクニカル面から1つ考察してみました。
これらを踏まえたうえで、
もう一度ご自身のトレーディングを再考してみてください。
相場は逃げていきません。
なんならデモとリアルを毎日交互にやっても良いわけです。
交互にやればデモとリアルのマインドの違いを認識できるでしょうし、
相場状況の良し悪しも考えなくて済みますね。
リアルの壁を超えていきましょう。