一般的な傾向として、人間というのは
単純なものと複雑なものを比較した場合、
複雑なものをありがたがる傾向があります。

心のどこかで、
単純⇒低級、簡単、地味、無益
複雑⇒高級、困難、立派、有益

のように変換しているんですね。

トレード手法に関しても同様で、
自分の大事なお金を投資、投機するためには、
できるだけ複雑な手法を使ったほうが良いと思いがちになります。

しかし、複雑なトレード手法というものは、
エントリーすべきか or すべきでないのか、
決済すべきか or すべきでないのか、
これらの結論を出すために数多くの工程を要します。

トレードするたびに、毎回毎回、決められた手法通りに
複数の工程を正確にクリアーしていくのは至難の業と言っていいでしょう。

なぜなら、
数多くの工程をクリアーしていく、といのは、
それだけ”思考の余地“が入ってしまうからです。

つまり、
本人は手法通りにやっているつもりでも、
どこかで”自分勝手な都合“や”思い入れ“が入ってしまい、
機械的なトレードをしているつもりが、
実際は手法の領域から外れた
ブレブレのトレードになってしまう危険性が大きくなります。
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例えば、、、
エントリーするために条件10個をクリアーしなければならない
複雑なトレード手法(Complex)というものがあったとしましょう。

この手法には、満たすべきインジケーター等の条件が10個含まれ、
それぞれ
条件A,条件B,条件C,条件D,条件E,条件F,条件G,条件H,条件I,条件J
があり、
これらを全てクリアーした時にエントリーできます。

さて、ローソク足が切り替わり、エントリーできるかどうかを調べる際に、
トレード手法(Complex)だと、
これら10個の条件を一つ一つ調べるためにとても時間を使います。

そして、一つ一つの条件を調べていくうちに
知らず知らずのうちに自分の都合が入ってくるでしょう。

「今回はエントリーしたいから条件をクリアーしてほしい」
「今回はあまりやる気が無いから条件を満たさないで欲しい」
等々、自分勝手な都合です。

そうした偏向を持ちながら10個の条件を調べるんですから、
当然ながら中立的な見方ができず、
思い入れ満載の再現性のない手法に成り下がります。

もちろん、思い入れが無くても、
10個もの条件を短時間で調べていくんですから、
その中では判断ミスの確率も上がっていきます。

判断ミスをしてしまえば、
それはそれで事前に決めたトレード手法ではなくなり、
やはり、再現性のない手法に成り下がります。

複雑な手法というのは、
“自分勝手な思い入れ”と”判断ミス”の両面から
実際には扱い難いものです。

それに対して、
エントリーするために条件3個をクリアーしなければならない
簡単なトレード手法(Simple)というものがあったとしましょう。

この手法には、満たすべきインジケーター等の条件が3個含まれ、
それぞれ
条件X,条件Y,条件Z
があり、
これらを全てクリアーした時にエントリーできます。

さて、ローソク足が切り替わり、エントリーできるかどうかを調べる際に、
トレード手法(Simple)だと、
これら3個の条件を一つ一つ調べるために要する時間は短くて済みますね。

それに3つだけですから、
自分の都合が入る余地も少ないですし、
判断ミスの可能性も少ないですし、
事前に決めたトレード手法を忠実に再現できる可能性も高いです。

以上の観点から、
トレード手法は複雑なほど優れているわけではない
と結論づけることができます。

逆に、複雑なほど再現性が低くなり扱い難くなるだけです。

良書を読んでいると、
トレード手法はシンプルなほど良い
というのを目にすると思いますが、
上記がその理由の一つです。

複雑なことをありがたがるのはやめましょう。
トレード手法に限ってはシンプルに越したことは無いです。
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シンプルが良いのならトレードの勉強はしない方が良い?

しかし、こうした話をすると、、、

トレード手法はシンプルな方が良いと聞きます。
 トレードは勉強すればするほど余計な知識が身に付いて
 複雑に考えてしまうので、勉強しない方が良いのですか?

と聞いてくる人がいますが、、、

論理が飛躍し過ぎです。論理が歪み過ぎです。
勉強したくないがための言い訳にしか聞こえません。

勉強しないで勝てるわけがないです。
勉強しないで勝てるなら世の中勝ち組だらけです。

シンプルが良いからといって
勉強しなくて良いだとか、検証しなくて良いだとか、
そういうことではないです。

シンプルというのは、
たくさん勉強し、たくさん検証し、たくさん試行錯誤し、
多くの努力を積み重ねて得らえた知識と経験から
自分にとって何が必要なのか and 自分にとって何が不要なのか
を適切に判断し、取捨選択したうえでの結果です。

上記のトレード手法(Simple)も
適当に闇雲に条件X,条件Y,条件Zを決めたわけではないです。

トレード本でたくさん勉強し、
FX商材でたくさん勉強し、
過去チャートでたくさん検証し、
デモトレードでたくさん記録を付けた結果、
自分にとって必要な、期待値>1の条件がこの3つだと判断できたわけです。

最初から、
「シンプルが良いんでしょ」
と言って、勉強せず経験せず、
適当に条件3つを選んでも、それはただの手抜きでしかなく
期待値>1にはなり得ません。

世の中にはチャート上にインジケーターを一切表示させず、
ローソク足だけで勝っている人もいらっしゃいます。

でも、その境地に達するまでには、
膨大な努力が、血のにじむような努力があったはずです。

初心者が何も勉強せずにローソク足だけでトレードしても
上手くいくはずがないですね。

トレード手法はシンプルな方が良いですが、
だからと言って、
「勉強する必要は無い」とか「楽して稼げる」とか
そういう意味ではありませんので誤解されませんように。