「優秀なトレード手法さえあればFXで勝つことができる」
「期待値>1の手法さえ見つかればトレードで勝つことができる」
トレード経験の少ない初心者のほとんどは、
このように考えていますが…私が断言しましょう。
期待値>1の手法を見つけたとしても、
それだけでは勝てるようにはなりません。
しかし、このように言うと、
FX初心者のほとんどは以下のような反応を示します。
「??なぜ??期待値>1の手法なんでしょ??
期待値>1とは、トレードを繰り返した結果
勝った時の値幅の合計と負けた時の値幅の合計の差がプラスになっている
ということだから、
それをそのまま実行すれば勝てるようになるんじゃないの??」
確かにそうです。
期待値>1の手法をそのまま実行すれば勝てるんですが…
残念なことに、FX初心者のほとんどは
期待値>1の手法を “そのまま” 実行することはできません。
なぜなら、必ずと言っていいほど、
無知と欲望と恐怖…これらの3つの悪影響を受けて
余計な行動をしたり、逆に、必要な行動をしなかったりして
自分自身の手で期待値>1の手法を期待値<1に変えてしまうからです。
無知と欲望と恐怖が適切なトレードの邪魔をする
FXを始めたばかりの人、トレードを始めたばかりの人というのは
当然ながら経験値が少ないです。
経験値が少ないことを自覚し、
少しずつ慎重に学習を進めることができれば良いのですが、
初心者のほとんどはそんな悠長な気持ちにはなっておらず、
すぐにでもトレードを始めたがります。
そして以下のように振舞います。
- 無知なままリアルトレードを始める
- 欲望のままに行動する
- 恐怖で冷静さを失う
期待値>1の手法を持っていたとしても、
これら3つが邪魔をして適切な行動を取らせてくれません。
無知なままリアルトレードを始める
トレードって容易く始めることができます。
証券会社に口座を開設してそこへ入金すれば
大した知識が無くてもすぐにでもトレードを始めることできてしまいます。
想像してみてください。
FXの基本的な用語の知識を知っているだけの人に、
売り買いの仕方などの基本的なルールを知っているだけの人に、
期待値>1の手法を「どうぞ♪」と渡して、
果たして勝ち続けられるでしょうか?
無垢な分だけ、純粋な分だけ素直に実行してくれる可能性もありますが、
そもそも手法の意味/ニュアンスを理解していないでしょう。
手法といっても単純な部分、複雑な部分があります。
そのロジックの意味を全て理解していない状態で
ただ教えられたものを機械的に実行しているだけ…とても危険な状態です。
無知なためにいつ間違った行動をとるか分かりません。
どの分野でも言えることですが、
特に専門職の強い分野の職業において、
取扱説明書だけを渡された素人が安定的に適切な行動をとり続けることは至難の業です。
飛行機操縦のマニュアル書を渡された素人が安定的に飛び続けられるでしょうか?
医療機器のマニュアル書を渡された素人が安定的に手術できるでしょうか?
将棋の定跡書を渡された素人が安定的に勝ち続けられるでしょうか?
まぁ書いてありますから、その通りに実行すれば大丈夫でしょう。
でも、その通りに実行し続けることは困難でしょう。
無知なためにいつ間違った行動をとるか分かりません。
それと同じ状態です。
当然、無知よりも知識が沢山あった方が勝てる確率が高くなります。
期待値>1の手法も知識が沢山あった方が適切に実行できる可能性が高まります。
欲望のままに行動する
お金が欲しいという欲望を満たすためにトレードをするんですが、
その気持ちを前面に押し出すとトレードは上手くいきません。
この辺りの塩梅は難しいんですが…
基本、トレード時にはお金のことは一切考えない方が良いです。
その方が上手くいく可能性が高いです。
しかし、ほとんどの初心者はトレード時の証拠金にばかり意識が向いているため、
期待値>1の手法を渡されたとしても、
お金を増やしたいという欲望がその手法を歪曲させ、軽視させます。
その通りに実行すれば期待値>1になる…分かっているはずなのに
いざ含み益状態が長く続くと、予定よりも早く利確したい欲望に駆られ、
実際に利確してしまい、ルール違反を犯します。
その通りに実行すれば期待値>1になる…分かっているはずなのに
いざエントリーできない状態が長く続くと、ルールを緩くしたい欲望に駆られ
実際に条件を緩和してエントリー、手法を軽視します。
その通りに実行すれば期待値>1になる…分かっているはずなのに
いざチャートが急騰している状態に直面すると、エントリーしたい欲望に駆られ、
実際にその場の衝動でエントリー、手法を無視します。
「そんなはずはない」と思うかもしれませんが…
いいえ、そんなはずがあるんです。
誰もが欲望に負けて行動するんです。
だからこそ、欲望をコントロールして手法だけを忠実に実行するマインドが必要なんです。
そのマインドに気付けるかどうかが重要なんです。
恐怖で冷静さを失う
人間は様々な感情を持ちあわせていますが、
その中でも思考力低下が最も著しいのが恐怖という感情です。
そして、トレードで恐怖を感じる場面というのは、
多くの人にとっては含み損が拡大している場面だと言えるでしょう。
当たり前と言えば当たり前で、
自分の資産がリアルタイムで減っている状況を
冷静に見ていられる人なんてそうそういません。
期待値>1の手法だと分かっていても、
「ルール通りの位置で損切りするぞ!」と強い意思を持っているつもりだったとしても
いざ含み損が拡大し、自分の資産が減っている状況を目の当たりにすると、
思考力が低下し、良からぬ感情が湧いてくる危険性があります。
「損切りして資産が減ってしまうのは嫌だ。
ストップの位置まで到着したけど、もう少しだけ様子を見よう」
「損失を確定するのは嫌だ。
そうだ!ナンピンして買い単価を下げて逃げやすくしよう」
恐怖からくる思考力低下によって
“期待値>1の手法の順守”
という意思が頭の中から追い出され、代わりにその場限りの思考が頭をもたげ
やるべき行動をやらなかったり、逆に、余計な行動をとったりします。
そして、期待値>1の手法がなし崩し的に形骸化されていきます。
「そんなはずはない」と思うかもしれませんが…
いいえ、そんなはずがあるんです。
誰もが恐怖に負けて行動するんです。
だからこそ、恐怖をコントロールして手法だけを忠実に実行するマインドが必要なんです。
そのマインドに気付けるかどうかが重要なんです。
以上、
無知と欲望と恐怖…これらの3つの悪影響についての解説でした。
要するに、
何も勉強せずに感情の赴くままに行動していたら
期待値>1の手法を知っていたとしても勝ち続けることはできない
ということです。
人間の感情を甘く見てはいけません。
心次第で、心がけ次第でトレードの成績なんて幾らでも変わります。
その事実を信じられない人は、
それこそ、まだ初心者の域を脱していない人でしょう。