世界には様々なギャンブルが存在しますが、
どんなギャンブルであっても胴元(運営、主催者)が儲かるようになっています。
なぜなら手数料を取るからです。
例えば、競馬の場合、
1つのレースで全参加者が賭けた全賭け額を
レースの順番を見事に的中させた一部の参加者へ分配しますが、
その際、全賭け額を均等に分配するのではなく、
胴元が手数料として全賭け額うち一定の割合を自ら取得しておき(抜いて)、
残った賭け額を的中させた参加者へ分配します。
この胴元が取得する割合は控除率と呼ばれていますが、
レースをするたびに必ず抜くので胴元は必ず儲かるようになっているわけです。
控除率の割合は各ギャンブルによって異なってきますが、
今回は数あるギャンブルのうちカジノのルーレットを取り上げてみます。
ほんのわずかな優位性でも勝ち戦が確定
多くの方がご存じだと思いますが、
ルーレットには1~36の目があり、それらが赤色と黒色に分かれていて、
それとは別に、0と00という目があります(アメリカンルーレットの場合)
そしてディーラーがホイールと呼ばれる回転する円盤にボールを投げ入れ、
そのボールがどこのポケットに入るかを予想するゲームですね。
賭け方は色々あります。
数字1点だけに賭けるストレートベット
隣接する2つの数字に賭けるスプリットベット
赤色か黒色かのどちらかに賭けるカラーベット
etc
ここでは計算が分かりやすいカラーベットを考えます。
カラーベットでは赤色か黒色かの2択を当てるわけですから
勝率は50%…ではないですよ。
そうですね。0と00という数字があることを忘れてはいけません。
全部で赤色の目は18個、黒色の目は18個あり、
それに加えて0と00という目が2つあるわけですから、
勝率は
18/(18+18+2)の計算で47.37%になります。
この50%から僅かに下がった分(2.63%)が控除率に相当しますが、
たった2.63%が大きな差をもたらします。
50%を割っているんですから、当然やればやるほど負けることになります。
数回程度なら偶然勝ち越すこともできるかもしれません。
しかし、ルーレットは独立事象であり大数の法則に従わざるをえないので、
やればやるほどその勝率は必然的に47.37%に収束していき、
プレイヤーはやればやるほど負けに近づくようになっています。
47.37%ですから、50%から僅か2.63%低いだけです。
たった2.63%低いだけで負けが確定するんです。負け戦なんです。
裏を返せば…
胴元(ディーラー)は52.63%の勝率のゲームを毎回行っているわけです。
数回程度なら偶然負け越すこともあるかもしれません。
しかし、大数の法則に従わざるをえないので
やればやるほどその勝率は必然的に52.63%に収束していき、
ディーラーはやればやるほど勝ちに近づくようになっています。
52.63%ですから、50%から僅か2.63%高いだけです。
たった2.63%高いだけで勝ちが確定するんです。勝ち戦なんです。
80%とか90%とか、そんな高勝率なんて必要ないんです。
50%をほんのちょっとだけ超える勝率さえあれば、
あとは大数の法則が味方してくれて自然と勝たせてくれます。
ルーレットは胴元にとっては“確率”の立場では”確実”に勝てる仕組みなんです。
大数の法則が味方してくれて自然に勝てる
このカラーベットをFXに当てはめてみると…
勝つと賭け金が2倍になり、負けると賭け金が0(没収)になるので、
これはリスクリワード比が1のトレーディングをしていることと同じです。
ディーラーの立場だと勝率は52.63%なので、
PF(プロフィットファクター)は、(52.63×1)/(47.37×1)=1.11
という計算になります。
要するに、ルーレットのカラーベットとは
ディーラーにとってはPF=1.11のトレードをしていることと同じなんです。
とある場面でロングエントリーし、同時に100PIPS上に指値利確を設定し、
100PIPS下にストップの逆指値を設定する。
そのトレードを何百回、何千回と繰り返した結果、
勝率が52.63%になったのと同じなんです。
仮に100回繰り返したとしたら、
52.63×100=合計5263PIPS獲得、47.37×(-100)=合計4737PIPS損失
差引すると、5263-4737=526PIPSの獲得となります。
いかがですか?
トレード手法としては十分な成績だと思いませんか?
勝率を50%から僅か2.63%有利な方向へ傾けただけですよ。
それだけでもこのような優秀な成績になるんです。
つまり、移動平均線やダウ理論や大きな時間足の分析などを行い、
僅か2.63%分のエッジが効いているチャートポイントを見つけるだけで
それが手法となり、その場面で何度も同じトレーディングを繰り返すだけで
勝ち続けることができるわけです。
そうです。
大数の法則が味方してくれて自然と勝たせてくれるんです。
これはギャンブルにおける胴元と同じ立場であり、
“確率”の立場で”確実”に勝てる仕組みを構築したことと同じ意味になります。
「勝率80%以上の手法が欲しい」
「月利30%を複利で回せば…」
「毎日毎週必ずプラス収益にしたい」
…欲張り過ぎです。高望み過ぎです。ないものねだりです。
そんな手法は存在しません。
にも関わらず、追い求めるから無理をすることになります。
無理やり勝率80%にしようとするから含み損を放置してしまう…
無理やり月利30%にしようとするからオーバーロットで一発逆転を狙ってしまう…
無理やり毎日毎週プラス収益にしようとするから余計なところでエントリーしてしまう…
先にルーレットの話をしましたが、
優位性はほんの少しで良いんです。
ほんの少しの優位性があればあとはただトレードを繰り返すだけ。
そうすれば収益の波は当然ありますが、
最終的には大数の法則によって利益が積み重なっていきます。
80%の勝率は厳しいですが、
50%をちょっと超えるだけのエッジの効いたチャート場面は頻繁に出くわします。
月利30%は厳しいですが、10%程度なら普通に狙えます。
毎日毎週収益をプラスにすることは厳しいですが、
ある程度のドローダウンを受け入れるマインドがあれば、
収益は上下動を繰り返しながらも右肩上がりになってくれます。
私はこれまで何度も
「トレードはギャンブルではない」
と書いてきましたが、適切な表現ではなかったかもしれません。
正しくは、
トレードとはギャンブルのプレイヤーになることではなく胴元になることです。
ほんの僅かでも良いので確率的に有利な場面だけでトレードを淡々と繰り返す。
これだけです。