為替市場は週末を除いて24時間動いており、
株式市場のように決まった取引場所が存在するわけではないですが、
それぞれの取引の活発な時間帯をとって
東京時間、ロンドン時間、NY時間というように
3つの時間帯に分けて考えるようになっています。
そして、その中で最も取引量が多いのがロンドン時間です。
取引量が多いということは、それだけ大きく動く可能性も高いという事です。
ロンドン時間は、夏時間の場合は15時から、
冬時間の場合は16時から始まるとされていて、
その時間を過ぎたあたりから急にチャートが動き出す事もあります。
特に、その前の東京時間が狭いレンジ相場だったり、
方向感なくランダムに動いているだけだったりした場合は、
ロンドン時間開始の15時丁度にいきなり動き出す事も時折見られますので、
ちょっと監視時間が遅れてしまうと、
もう既にトレンド後期だったという事も起こり得ます。
こうしたロンドン時間初動の、時間帯を区切っての急激な動きというのは、
ニュースをきっかけにした動きというよりも、
特定の投機家やそのグループが、買い仕掛け、もしくは売り仕掛けた動き
と捉えて良いでしょう。
取引量が多いロンドン時間帯で、豊富な資金を持っているスペキュレーターが
一番最初に仕掛けて、その動きに他のトレーダーが追随し、
その後にトレンドが形成されてくれれば、
一番多く利益が出るのは、最初に仕掛けたスペキュレーターですからね。
そうした仕掛けをしたがっている大口のトレーダーは数多く存在するでしょう。
資金の奪い合い、戦場ともいえる為替市場では、基本的には何でも有り、
他人の資金の心配をしているトレーダーなんて誰一人いるはずもなく、
どんな手を使ってでも利益を上げようと、虎視眈々と獲物を狙うように
チャートやニュースに目を光らせているトレーダーばかりです。
ロンドン時間初動の急激な動きは、
そうしたトレーダーの先手必勝的な仕掛けと解釈できます。
しかし、、、
そんな先手必勝の動きが毎回通用するはずはありません。
市場参加者にはいろんな考えのトレーダーが集まっています。
豊富な資金を武器に無理矢理仕掛けたとしても、
“更に“豊富な資金を持っている別のトレーダーが
その先手必勝の動きを逆手にとって、
逆向きに仕掛けてやろうとする事も十分に有り得ます。
また、チャートの形状によっては自作自演で
揺り動かしを演じることもあります。
例えば、ロングを仕掛けたいがそのまま上げるのでは芸がないので、
まずは、直近の下値支持線に注目し、
そのラインを下方向へブレイクするように売り仕掛けを行います。
そうすると、支持線割れに注目している他のトレーダーが
新規に売り注文を出したり、既存のロング保持トレーダーは
節目割れで損切りの売り注文を出すようになります。
その際に、節目割れ付近で、あらかじめ自分の買い注文を
指値設定しておくことで、
そうした売り注文を自分自身の買い注文で受けとってしまいます。
ある程度買いポジションがたまったら、
今度は自身の売り仕掛けのショートを決済すると同時に
新たに買い注文を出して、今度は先ほどの支持線を一気に上方向へブレイクさせ、
上昇トレンドになるように仕向けます。
そうすると、先ほど新規に売りポジションを持ったトレーダーは
一気に含み損になり、そうしたトレーダーが損切りの買い注文を出す事で
更に上昇に弾みがかかることになります。
となると、その後はうまくいけば、自分以外のトレーダーによる
新規買い注文、及び損切り買い注文でトレンドが形成されるようになります。
資金が多ければ、その分いろんなやり方があるものですが、
だからといって、こうした方法も常に機能するわけではないです。
いつだって”上手“のトレーダーが存在しますし、
そうした動きを逆手にとってやろうとするトレーダーが存在しますし、
また、逆手に取ったトレーダーがいつもうまく行くとも限りません。
こんな事は考え出したらキリがないですね。
基本的には、こうした事をあれこれ深読みしても、
利益にはあまり結びつかないと思います。
FX初心者のうちは、チャートの動きの原因をあれこれ考えるよりも、
実際に描かれたチャート、ローソク足の動きそのものに反応した方が
迷いもなく、シンプルに考える事ができるでしょう。
複雑に考えれば利益が出るというのは、
FX初心者にありがちな間違った思考です。
特に他のトレーダーの思惑なんて、考えたって分かるはずはないのですから、
そうしたことは一切考えない方が気楽で良いですよ。