将棋好きの私としては、
今年、将棋の話題が多くて嬉しかったですね。
中学生棋士の藤井聡太四段がプロデビューから29連勝して
藤井フィーバーという言葉も流行語候補となりました。
また、「ひふみん」の愛称で親しまれた加藤一二三九段が引退しましたが、
そのキャラクターがウケてタレント活動を開始しました。
さらに、コンピューター将棋ソフトの圧倒的な強さを
見せつけられた年でもありました。
そして最近では、羽生善治氏が竜王のタイトルを獲得したことで、
全てのタイトルの永世称号を制覇し「永世7冠」を達成しました。
これにより、
日本政府は羽生竜王に国民栄誉賞の授与を検討しているとの事で
同じ時代に生きてきた人間として嬉しい限りです。
タイトルを1期取るだけでも大変なのに、現在まで合計99期獲得し、
30年にわたって第一線で、、、いや、頂点で活躍しつづけるなんて、
これほどの天才棋士は二度と出てこないでしょうね。
しかも、羽生竜王の品格、人間性もさることながら
その言動は示唆に富んだものが多く、
人生観を学ぶための勉強にもなります。
これからも注目していきたいですね。
なぜプロ棋士は100手にも及ぶ対局を再現できるのか?
羽生竜王に限らず、プロ棋士なら誰でも
今、指した将棋を対局後にそのまま正確に再現できます。
これって、将棋の素人からすると、
おそらく信じられないでしょう。
将棋1局には、約100手くらい指します。
自分が指して、相手が指して、、、これを50回ほど繰り返し、
合計で100手くらいになると勝負がつきます。
その100手を、対局が終わった後に何も見ずに再現できるんですよ。
よっぽど頭が良いのか、よっぽど記憶力が良いのか、
プロ棋士って天才集団なのか?!
と思ってしまうかもしれませんね。
もちろん、頭が良いこともあるでしょうが、それと同時に
覚えていられるハッキリとした理由があるんです。
それは、
“プロ棋士の指し手には全て明白な意図があるから”
です。
先手が2六歩とした場合、
それは飛車を活用したいという意図があるからです。
それに対して、
後手が3四歩とした場合、
それは角を活用したいという意図があるからです。
それに対して、
先手が2五歩とした場合、
それは飛車先の歩を交換したいという意図があるからです。
それに対して、
後手が3三角とした場合、
それは相手に歩を交換させないという意図があるからです。
このように、初手から最終手まで、
全てに明白な意図を持って指しているんです。
将棋とは、
“将棋盤を通して相手とコミュニケーションをとっているゲーム”
とも言えます。
先手の指した手から、その意図を汲み取り、
それに対して後手がどのような手を指すべきなのか考える。
また、その後手の指した手から、その意図を汲み取り、
それに対して先手がどのような手を指すべきなのか考える。
これの繰り返しです。
結果的に、自分が指した手が、もしくは、相手が指した手が、
巧手であろうとも、凡手であろうとも、悪手であろうとも、
その手には明白な意図があります。
なぜ、この局面でその手を指さなければいけないのか、
その手にどんな意味が込められているのか、
それを理解した上でプロ棋士は指しています。
全く関連性の無い、無意味な手は無く、
一連の手順に全て意味があり、それらが一連の流れを形成しているからこそ、
それら全てのつながりである約100手ほどの棋譜を
全て覚えていられるんですね。
では、全く関連性の無い、無意味な手を連続で指されたら、、、
プロ棋士はそれらを覚えていられるんでしょうか?
以下、羽生竜王の言葉です。
将棋のルールを覚えたばかりの幼稚園児同士の対局の解説をした時には、
記憶するのがとても難しかったんです。
私が予想する手は一手も指してくれない。
自由奔放で法則性のないものを
正確に50手、60手と覚えるのは苦労しました
将棋には流れがあります。ストーリーがあります。意図があります。
だからプロ棋士はその棋譜を覚えていられるんです。
しかし、
流れの無い、ストーリー展開が無い、相手の意図が感じられない棋譜は
さすがの羽生竜王も覚えるのが難しいんですね。
意図が感じられないエントリー?!
私は時折、FX商材購入者の方から、
チャート付きのトレード記録を見せてもらうことがあります。
私からアドバイスが欲しいとの事で、
チャート画像にエントリー位置と利確位置、もしくは、
損切り位置を書き加えたものをメールで頂くので、
そのトレードの寸評をすることがあるんですが、
正直、そのトレードの意図が分からないケースもあります。
また、意図が分かったとしても、その意図が希薄なケースが多いです。
「シグナルが出たのでエントリーしました。
どうして損切りになったんでしょうか?」
「レジスタンスラインをブレイクしたからエントリーしました。
どうして損切りになったんでしょうか?」
自分で構築したルールにしろ、
FX商材内で語られているルールにしろ、
ただ、ロジックをなぞっているだけのトレードで、
そのエントリーにどんな意図があるのか、
その決済にどんな意図があるのか、
私からすると、その意図が読み取れないケースが多いです。
先の将棋の話と関連させると、
エントリーするまでの流れが見えないんです。
エントリーから決済までのストーリ展開が無いんです。
トレードしている本人の意図が感じられないんです。
別の言い方に置き換えると、
チャートの意図を汲み取っていない、
チャートとのコミュニケーションがとれていないために、
関連性の無い、無意味なエントリーに感じてしまうんですね。
プロ棋士の指し手には全て明白な意図があるように、
トレーダーの指し手(エントリー、利確、損切り)にも
全て明白な意図をもって臨んでいくようにしましょう。