今月、トランプ大統領によって発動された”相互関税“が世界経済を大混乱に陥れようとしています。
世界各国の反発はもちろん、特に中国は真っ向から関税政策に反対しており、
徹底抗戦の構えで米中貿易摩擦が激化しています。
著名な経済学者の多くが今回の相互関税に異を唱えていますが、
当然、トランプ大統領は聞く耳を持たず。
一般的には、関税を高くすると物価が押し上げられインフレになりますが、
これほどまでの高関税になると、米国への輸出は大幅に減り、
物資の交流が滞り、景気後退の可能性も出てきます。
つまり、近い将来の米国では、関税による物価高と不況が同時に起こる
いわゆるスタグフレーションの懸念が高まってきたと言えるでしょう。
そして、それを機関投資家やファンドが敏感に察知して、
米国から資金を逃がそうとする動きもあります。
実際、今年に入ってからは、
ドル売り、米株売り、米国債売りのトリプル安が続いており、
いわば”米国売り“の様相を呈してします。
投資家は不透明感を嫌います。
落としどころのない今回の相互関税に市場は警戒感を強め、
リスク回避の姿勢を取らざるを得なくなっています。
以下は現時点でのNYダウの週足チャートです。
今年に入って以降は急勾配の下落が続いており、
一時は最高値から19%下げて、36000ドル台を付けました。
直近では戻り基調ですが、まだ安心できず、
トランプ大統領の姿勢、発言によっては何とでも変わる相場です。
そしてこの相場展開を目の当たりにして焦っているのがNISA民です。
2024年から始まった新NISAですが、
現在の米株、日本株のチャートから判断すると、
多くの方が含み損になっていることでしょう。
私のところにも相談のメールが来ました。
「NISAで積立てた資金は傷の浅いうちに損切りしたほうが良いですか?」
「現在NISAが含み損なのですが一旦損切りして現金化したほうが良いですか?」
私の返答は…
トランプ関税によりNISAの目的が見失われたのか?
まず、NISAの目的を思い出してください。
世界のあらゆる企業は利益追求することで成長していきますが、
それが世界経済全体を成長させることに繋がります。
そして、その世界経済の成長をNISAという形で
自分も享受することが目的だったはずです。
10年後、20年後、30年後に世界経済が成長していると思っているから
毎月少しずつNISAに資金を振り分けて、
あなたの選んだ投資信託、ETFも成長し、利益が大きくなることを見込んでいたはずです。
今回のトランプ関税でその目的が見失われましたか?
今回のトランプ関税でその前提が崩れましたか?
私の返答は、
「世界経済が今後も数十年単位で成長し続けると思うのならそのままNISAを続けてください。
世界経済がトランプ関税をきっかけに破滅し立ち直らない思うのならNISAを解約してください。」
です。
私の投資行動はもちろん前者です。
人類が誕生して以来、経済はずっと成長し続けてきました。
株式という仕組みが誕生してからは数百年経っていますが、
その間も世界の株式相場の時価総額は増大し続けています。
それが今回のトランプ関税で全て無に帰すとでも思っているんですか?
数百年の株式の歴史がトランプ大統領の失政により幕を閉じるとでも思っているんですか?
トランプ大統領の事ですから何をしでかすか分かりません。
理にかなわない独裁的な政策により米国だけでなく、世界中の国々の経済は壊滅的な打撃を受け、
それがきっかけで核戦争が起こってインフラはすべて破壊され、金融市場も崩壊、
ケンシロウが生きている北斗の拳のような世界観がやってくると思うのなら、
株なんか買っている場合ではないでしょう。
(そんな未来を予想するなら、金(ゴールド)の現物を買っておきましょう)
でも、その可能性はほぼ0(ゼロ)です。
トランプ大統領の任期はたかが4年です。
このままトランプ関税が上手くいかず、米国が物価高と不況に苦しみ、
前バイデン大統領の時よりも生活が苦しいことが明白になれば、
4年後の大統領選挙では確実に民主党に政権が移行します。
そうなれば、トランプ大統領による相互関税を含む高関税政策は
次の民主党の大統領によってことごとく覆されるでしょう。
トランプ大統領によって世界経済は傷つくかもしれません。
それを元に戻すには何年もかかるかもしれません。
しかし、人類の”より良い生活を求める気持ち“がある限り、
世界経済は再び成長することになるでしょう。
つまりは、トランプ関税によって株価が下がるようなら
それは絶好の買い場になる可能性が高いわけです。
もちろんどのくらい下がるのかは分かりません。
リーマンショックや東日本大震災、コロナショックのような大暴落が来るかもしれません。
しかし、10年、20年、30年先を見据えて、
世界経済が成長すると思うのなら、大きく下がった場面では喜んで買うべきなんです。
NISAを損切り?現金化?
デイトレのような投機ではないんですから勿体ないです。
株価停滞期、株価下落期に積立てを継続しておかないと、
または、新たに株を仕込んでおかないと
将来の株価上昇期に大幅な利益を見込めませんよ。
長期投資とは上昇期だけではそれほど大きな利益にはなりません。
安い時にどれだけ仕込めるかが鍵となります。
株価が下がったら不安になるのではなく、
喜べるようになると長期投資家としては正常なマインドと言えるでしょう。
これまでの株式は数々のショックを乗り越えてきた
経済アナリストと呼ばれている方々も
今回のトランプ関税による株価急落に対してコメントを出していますね。
荻●博●さん
『「つみたてNISA」のように、高くても安くても自動的に同じ商品を買い続けてしまうような投資は即刻停止し、積み立てるはずのお金は、貯金しておきましょう。』
…NISAの意義、目的を完全に履き違えていますね。
たかだか19%の下落で何を慌てているんでしょうか?
この程度の下落は今後何度でも起きます。
その度に投資を止めてしまっては積み立ての意味がないです。
森▲卓▲さん
『人類史上最大のバブルが、今まさに弾けようとしています。
おそらく暴落の規模は、9割下落どころでは済まないと考えています。
だから私は「日経平均が2000円になる」と、警告し続けているのです。』
…いやはや何とも。あまりにも極論過ぎて言葉が見つかりません。
この方は今年中に日経平均が2000円になると仰っていましたね。
先に私が書いたような金融市場の崩壊が本当に起こると思っているようです。
今年末に日経平均が2000円にならなかった時の言い訳を是非とも聞きたいですが、
残念ながらその願いは叶わなくなってしまいました。
株式の暴落が起きるたびにマスコミは騒ぎ立て、投資家は阿鼻叫喚の様相を呈し、
底が見えない恐怖に世界が終わるのではないかと何度も言われてきました。
しかし、これまでの歴史を振り返ってみてください。
1929年に起きた世界大恐慌後も、結局は株価は上がり続けました。
1939年に起きた第2次世界大戦後も、結局は株価は上がり続けました。
1971年に起きたニクソンショック後も、結局は株価は上がり続けました。
1973年に起きたオイルショック後も、結局は株価は上がり続けました。
1991年に起きた湾岸戦争後も、結局は株価は上がり続けました。
2001年に起きた米国同時多発テロ後も、結局は株価は上がり続けました。
2008年に起きたリーマンショック後も、結局は株価は上がり続けました。
2011年に起きた東日本大震災後も、結局は株価は上がり続けました。
2020年に起きたコロナショック後も、結局は株価は上がり続けました。
世界の株式は数々のショックを乗り越えて現在進行形で右肩上がりになっています。
それが今回のトランプ関税で右肩上がりが途切れると思うんですか?
今回のトランプ関税だけは特別なんですか?
過去に起きた事件/事故を凌駕するほどの壊滅的な出来事なんですか?
申し訳ないですが、私にはそのようには思えないんですが。
トランプ政権の4年間なんてあなたの投資人生の一場面に過ぎません。
長期投資であるならば直近4年間を考えるのではなくて、
10年先、20年先、30年先を見据えた投資行動をとっていきましょう。