ある日、あなたの目の前に親切なおじいさんが現れました。

そして以下のように話しかけてきました。

『簡単なゲームをしませんか?
 あなたにお金をプレゼントしたいのですが、、、

 1.無条件に100万円をあげます。
 2.コインを投げて表が出たら200万円あげますが、
   裏が出たら何もあげません。

 どちらにしますか?』

次の日、あなたの目の前に別の親切なおじいさんが現れました。

そして、以下のように話しかけてきました。

『簡単なゲームをしませんか?
 あなたは現在200万円の借金を抱えているそうですが、、、

 1.そのうち100万円分を無条件に私が払います。
 2.コインを投げて表が出たら200万円全額私が払いますが、
   裏が出たら私は一切払いません。

どちらにしますか?』

coin20070301

こうした質問をすると、多くの人が、
最初の質問では
 1.無条件に100万円をあげます。
を、
次の質問では、
2.コインを投げて表が出たら200万円全額私が払いますが、
  裏が出たら私は一切払いません。

を選択します。

あなたはどうでしたか?

もしも、最初1番、次2番を選んだのでしたら、
一般的な心理の持ち主です。

つまり、プロスペクト理論に支配された、
トレードで負けやすいメンタルの持ち主
です。

プロスペクト理論のままに行動している自分?!

プロスペクト理論“という言葉をご存じでしょうか?

トレードについて勉強していれば、
いつかは辿り着く用語です。

なので、もしもプロスペクト理論という言葉を聞いたことがない、
その意味を理解していないならば、
あなたはまだトレード初心者の域なのかもしれませんね。

プロスペクト理論については、
ありとあらゆるサイトで説明されているので、
今さら私のブログで取り上げるのも新鮮味がない、というか、
面白味がないと思うのですが、
一応、トレード初心者の方のために簡単に説明しておきます。

プロスペクト理論とは、
1979年にダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによって提唱された、
人間は、
目の前に利益があると、確実に入手できることを選択し、
目の前に損失があると、不確実性に賭けることを選択する傾向にある

という心理学に基づいた行動理論です。

先の質問を再確認すると、
1.無条件に100万円をあげます。
2.コインを投げて表が出たら200万円あげますが、
  裏が出たら何もあげません。

この2つの選択肢は、どちらの期待値も100万円なので、
どちらを選んでも構わないはずです。

しかし、人間には”利益を確実に得たい“という心理が働くので、
1番を選んでしまうんですね。

コインに賭けて、運悪く貰えなかったら嫌だ!
 絶対に欲しいから100万円ください

となるわけです。

次に、
1.そのうち100万円分を無条件に私が払います。
2.コインを投げて表が出たら200万円全額私が払いますが、
  裏が出たら私は一切払いません。

この2つの選択肢は、どちらの期待値も100万円なので、
どちらを選んでも構わないはずです。

しかし、人間には”損失はできるだけ決めたくない“という心理が働くので、
2番を選んでしまうんですね。

100万円でも損失が確定するのは嫌だ!
 借金がチャラになる可能性があるのなら、一か八かコインに賭けてみよう

となるわけです。

利益は確実に、損失はできるだけ後回し
人間なら誰でも持っている心理です。

もちろん私がトレード初心者の頃にこの質問を受けた時には、
最初1番、次2番を選びました。

まんまとプロスペクト理論のままに
動かされていたことに気づかされたんですね。

でも、それと同時に、”なるほど“という思いと共に、
自分の中で意識改革が起こったことを今でも覚えています。
change20070302

プロスペクト理論に支配されていないか自分に問いかける

トレードではプロスペクト理論に反して行動しないと勝てません。

何も鍛えていない素のままのマインドで勝ち続けられるほど
トレードは簡単ではないのです。

つまり、
利益は確実に、損失はできるだけ後回し
の心理の逆を行かなければいけません。

要するに、
利益はできるだけ後回し、損失は確実に
ですね。

以下、トレードにおける代表的なプロスペクト理論です。

含み益増大中、まだ利確の条件に一致していないけど
 早く利益を確定したいから決済しよう

含み損増大中、既に損切りの条件に一致したけど
 損失を確定したくないからもう少し粘ってみよう

どちらもトレーダーとしては失格です。

ルールを破ってのコツコツドカン、
典型的な負け組トレーダーの思考、行動です。

他にもトレードでは様々な場面でプロスペクト理論を試してきます。

例えば、
今日は既に勝っているので、早めにトレード時間を終了しよう
今日は負けっぱなしだから、トレード時間を延長しよう
これらもプロスペクト理論に支配された言動です。

勝って終わりたくて、トレード時間を早めに切り上げる。
負けて終わりたくなくて、トレード時間を延長する。。。

人間心理の素のままの感情であり、
まさにプロスペクト理論ですね。

自分の損得勘定を優先してトレード時間を変えることは期待値を下げます。

本来であれば、
どれだけ勝っていようとも、どれだけ負けていようとも、
トレード時間は変えず、マイルールに一致したらエントリーすべきです。

あなたのその行動は、
損得勘定に支配された自分の都合ですか?
それとも、
当初から決めていた規律あるルールですか?

トレードで何かアクションを起こす際、
それがプロスペクト理論に支配されたものなのか or not なのか、
常に自身の心に問いかけてみてください。