通常、チャート上に水平の下値支持線、上値抵抗線を引く場合は、
少なくとも2点、同じ水準のレートで下げ止まった、
もしくは、上げ止まった形跡を確認してから引くことになります。
当たり前といえば当たり前ですよね。
1点だけの高値、安値を元にした水平ラインならば、
チャート上にいくらでも引けてしまいますし、
それが市場参加者によって意識される事になる高値、安値なのかは
事前に分かるはずもありません。
少なくとも同じような位置でもう一度下げ止まってくれて、
2点の安値が並んだ時点で水平の下値支持線が引ける事になりますし、
少なくとも同じような位置でもう一度上げ止まってくれて、
2点の高値が並んだ時点で水平の上値抵抗線が引ける事になります。
ラインの引き方には、それぞれ流派、流儀があって、
明確な定義というものはなく、正解もないんですが
最低でも2点が必要というのは、
数学的にも直線を引くためには欠かせない必須条件です。
しかし、2点だけなら、単なる偶然の可能性もあるので、
できれば3点以上並んでいてほしいですね。
そうすれば、多くのトレーダーに注目される事になり、それなりに意識され、
ラインとして機能する可能性も高くなってくるでしょう。
一般論として、支持された回数が多いほど、
そのラインはチャート上にも明白に確認できるようになり、
それによって下値支持線として意識される事になり、
従って、逆に割れた場合には、下げトレンドの起点として、
売り注文が増える可能性の高いポイントでもあります。
また、抵抗された回数が多いほど、
そのラインはチャート上にも明白に確認できるようになり、
それによって上値抵抗線として意識される事になり、
従って、逆に抜けた場合には、上げトレンドの起点として、
買い注文が増える可能性の高いポイントでもあります。
この辺りまでは、よく言われている上値抵抗線、下値支持線の解釈ですね。
しかし、、、
例外的に1点だけの高値安値にも関わらず、
そこが下値支持線、上値抵抗線として意識される場合もある事を知っていますか?
つまり、通常なら2点以上並ぶようにチャートが描かれた段階で
初めて支持線、抵抗線としての水平ラインが引けるはずが、
並ぶことを待つまでもなく、1点だけで支持線、抵抗線が引けて、
しかも、かなりの高確率で機能してくれるラインです。
重要イベントが起点となった急騰、急落に注目
日々の為替市場では、経済指標の発表などの重要イベントが
決まった時間に定期的に行われていますね。
代表的なものでいえば、米雇用統計、政策金利、
イエレンFRB議長やドラギECB総裁などの要人発言、
それから、FOMCや各国のGDPなどもそうですね。
このような重要イベントの直後には、その内容によっては、市場が大きく反応し、
チャート上にも大陽線や大陰線が表れる事も頻繁に起きています。
デイトレーダーにとっては、このような重要イベントの前後は、
テクニカルが効きにくいことから、
その前後はポジションを持たないようにしているトレーダーもいるでしょうし、
逆に、指標発表後の動きの飛び乗り飛び降りを
得意としているトレーダーもいるでしょう。
多くのトレーダーはこうしたイベント中の動きばかりに注目しがちですが、
実は、イベント後に発生した大陽線、大陰線は、
その後もしばらくの間は注目すべきポイントとなります。
どういう事かというと、
「重要イベントが起点となった急騰、急落時の大陽線、大陰線の始値、終値は
下値支持線、上値抵抗線として機能しやすい」
という性質があります。
例えば以下は、最近のEURUSDの1時間足チャートです。
先週の金曜日には米雇用統計の発表があり、
その直後には大陰線が出現している事がチャートから読み取れますね。
チャート上に2つ水平のオレンジラインを引いていますが、
上のラインは、米雇用統計発表時の起点となった始値付近から引いたラインです。
下のラインは、同じく米雇用統計の発表後の
一旦の下値となった安値から引いたラインです。
そして、その後のチャートの動きを見てみると、どうでしょうか。
この2つのラインが、その後支持線として、それから抵抗線として
機能していると思いませんか?
このように重要イベント直後に出た大陽線、大陰線の始値、終値付近は、
その後、支持線、抵抗線として機能する可能性が高く、
同位置での2点目、3点目の支持、抵抗を待つまでもなく、
1点のみで水平ラインを引く事ができます。
次に、EURJPYの1時間足チャートです。
こちらにも2つの水平オレンジラインを引いていますが、
上のラインは、ドラギ総裁会見後に付けた一旦の高値から引いたラインです。
下のラインは、同じくドラギ総裁会見直後の上げの起点となった
始値付近から引いたラインです。
上のオレンジラインは、その後しばらくは下値支持線として機能し、
それを割れてからは上値抵抗線として機能している事も分かりますね。
そして、直近の急落では、下のオレンジラインも割れていきましたが、
その後の反発の戻りに関しては、このオレンジラインで一旦止められています。
次に、AUDJPYの1時間足チャートです。
チャート上に大陽線、大陰線をつけることとなった重要イベントを記載していますが
AUD関連の通貨ペアなので、豪関連のイベントにも反応していますね。
このチャートでも重要イベントを起点として大陽線、大陰線が描かれた場合、
その起点、終点がその後に支持線、抵抗線として機能していますし、
そのラインを割れたら一気に売りが加速していますし、
そのラインを抜けたら一気に買いが加速している事も分かります。
まぁ、ラインというのは、キッチリピタッとその位置で反応するわけでもなく
ある程度の幅を持たせたゾーンとして捉えるべきですが、
上記のような重要イベント契機の大陽線・大陰線の始点、終点は
その後、節目として意識される可能性が高く、
2点形成を待たなくても、予めラインを引いておいて損はないと思います。
動きが止まりそうな位置が事前に分かっていれば、
トレードを有利に進める事ができますからね。