上昇トレンドの時にはロングを仕掛けた方が勝てる確率は高くなりますし、
下降トレンドの時にはショートを仕掛けた方が勝てる確率は高くなります。

では、上昇トレンドや下降トレンドとは、どういったものなのでしょうか?

トレード初心者の場合、
なんとなく上がっているように見えるからロングを狙おう、
なんとなく下がっているように見えるからショートを狙おう、
と適当に考えている方もいるようですが、
トレンドの定義というものは、自分の中で明確にしておいた方が良いです。

なぜなら、トレンドの定義が曖昧だと、
その時の気分で自分に都合良くトレンドを解釈し、
再現性のないトレードを繰り返す危険性があるからです。

トレンドの定義というと、
一般的には移動平均線やボリンジャーバンドを使って、
それらのラインの傾き具合やレートとの位置関係から決めるケースが多いです。

もちろん、それでも構いませんが、
今回はダウ理論から考えてみます。

ダウ理論の基本法則は以下のようになっています。

  1. 平均はすべての事象を織り込む
  2. トレンドには3種類ある
  3. 主要トレンドは3段階からなる
  4. 平均は相互に確認されなければならない
  5. トレンドは出来高でも確認されなければならない
  6. トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する

知っている人にとっては、見慣れた6項目ですね。

ダウ理論は本来は株式市場での値動きを評価する為の理論ですが、
為替市場でも十分に役に立ちます。

そして、個人的にこの中で最も重要だと思っているのは6番であり、
トレンドの定義の置いても6番を利用します。

ZIGZAGによるトレンド判断の参考例

以下に参考チャートを載せますが、
チャート内にジグザグに描かれているラインは
その名の通りZIGZAGというインジケーターです。

今回はこのZIGZAGによる高値安値を参考にして
ダウ理論を判断していきます。

さて、チャートを見ると、
しばらくの間、下降トレンドが続いていましたが、
途中から上昇に転じてきましたね。

では、これって上昇トレンドと言えるのでしょうか?
chart21043001
確かに、直近の動きとしては右肩上がりになっているので、
上昇トレンドに見えますね。

しかし、これはダウ理論的には上昇トレンドとは呼びません。

ダウ理論的なトレンドの定義では、
上昇トレンドとは、高値が切り上がり、安値が切り上がっている状況
下降トレンドとは、高値が切り下がり、安値が切り下がっている状況
を指します。

これを踏まえて、上記のチャートを再度確認すると、
確かに直近では価格は上昇していますが、
ZIGZAGのパターンが
高値が切り上がり、安値が切り上がっている状況ではありません。

一方的な上向きのラインだけです。

よって、上昇トレンドの定義には当てはまらず、
現状は “単に上向きが優勢なだけ” という解釈になります。

“上向きが優勢”と”上昇トレンド”とはイコールではありませんので、
ここを混同しないようにしてください。


では次に、あれからローソク足数十本経過したチャートですが、
今度はどうでしょうか?
chart21043002
最安値を起点として、前回高値であるA地点を超えた時点で
高値の切り上がりと安値の切り上がりが完成したことになります。

このような状態になって、
はじめて”上昇トレンド“と呼ぶ事ができ
トレンド状態になったら仕掛ける” という意識でチャートを見ている場合は、
このA地点を超えてからロングを検討してよい事になります。

もしかして、
A地点を超えてからロングを検討って、
 ちょっと遅くない?

と思うかもしれませんが、
こればっかりはチャート次第ですので仕方ありません。

上記の参考チャートでは、
かなり上向きに進んでいるので遅く感じますが、
もちろん早めに高値切り上げ安値切り上げになるケースもあります。

全てはチャート次第です。

ちなみに、具体的なエントリーロジックについては
今回の記事のテーマではないので割愛しますが、、、
直近の高値を抜けて上昇トレンド確定直後にロングする場合もあるでしょうし、
次の安値の切り上げ、つまり押目を待ってロングする場合もあるでしょうし、
インジケーターやローソク足の形状を見てロングする場合もあるでしょうし、
MTF分析から小さい時間軸に移行して細かく狙っていく場合もあるでしょう。

どんなロジックを使うにしても、
まずはトレンドが確定してから行うようにします。


では次に、あれからローソク足数十本経過したチャートですが、
今度はどうでしょうか?
chart21043003
B地点での高値の切り下がりが確定しました。

先のダウ理論で
6.トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
とありましたが、上記チャートのように
上昇トレンドの定義である
高値切り上がり、安値切り上がりのパターンが崩れた状態は、
もはや上昇トレンドではありませんので、
これで上昇トレンドは終息したと判断します。

つまり、こうなったらロングエントリーの対象外となり、
次のトレンド状態になるまでは、
しばらく放置して様子見という事になります。

そして、ダウ理論的に分かりやすいトレンド状態になっている
他の通貨ペアを探して、それをトレード候補に切り替えます。

こうして、トレンド状態になっている通貨ペアだけを相手にすれば、
期待値も上がるはずです。

上記のようなチャートの高値、安値に基づいたトレンド判断は、
最も基本的だといえますが、
実際のトレードにおいては有効的であり、実践的でもあり、
これさえ知っていればトレンドを大きく外す事はないでしょう。

どこの高値、安値に注目すべきか、については
今回のようにZIGZAGを使っても良いですし、
自身の目視で裁量的に決めても良いです。

自分にとって最もシックリする方法を見つけてください。