トレードとは得失点差を広げることが目的であって、
勝率を上げることが目的ではありません。

しかし、資金増、資金減という形で勝ち負けが明確に区別できる
トレードという分野は、どうしても勝負事と捉えられてしまいます。

となると、本人が好むと好まざるとに関わらず、嫌でも
勝ちたい」「勝率を上げたい」「高勝率こそ正義!
という心理状態になってしまうものです。

日常生活で目にする”試合”という分野のそのほとんどが
勝率を競う事を目的としています。

勝率が高ければ優秀で、最も勝率が高ければ優勝です。

子供のころからテレビで何気なく見ているどんなスポーツも
そのほとんどが勝率を競っているものばかりなので、
潜在意識レベルで
勝率が高いことが優れていること
と何十年に渡って刷り込まれ続けているわけです。

例えば、誰もが知っている野球もそうですが、
勝率が最も高いチームが優勝です。

とにかく勝てばいいんです。

1対0で勝っても、10対0で勝っても、その1勝の重みは同等です。
0対1で負けても、0対10で負けても、その1敗の重みは同等です。

1対0で9連勝して、その後、0対10で1敗して、
総得点9、総失点10でも、9勝1敗ならトップの順位でしょう。
しかし、
0対1で9連敗して、その後、10対0で1勝して、
総得点10、総失点9でも、1勝9敗なら最下位になってしまうでしょう。

私達のほとんどは野球を得失点差で見る習慣など身に付いておらず、
勝ち負けという視点で見ているはずです。
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しかし、
もしも野球が得失点差で順位が決まるスポーツだったとしたら
果たしてどうなるでしょうか?

おそらく、野球という試合の概念が大きく変貌し、
その戦術も大きく変わってしまうでしょう。

例えば、序盤で点差が大きく離れてしまって
ゲームの勝敗が既に決まってしまった場合、
負けが確実となったチームでは、当たり前のように
新人の投手や2軍から上がったばかりの野手を試合で試すでしょう。

既に”捨て試合“という認識なので、
この後にどれだけ点差が離れてしまっても関係ないわけです。

どうぜ1敗は1敗ですから。

ならば、今後の為に、使える投手がいないか、使える野手はいないか、
その捨て試合でどんどん使ってみて、
選手のパフォーマンスを確認するわけです。

しかし、野球が得失点差を競うゲームになったとしたら、
うかつに実績のない投手、野手は使えないはずです。

なぜなら、捨て試合などという概念は無くなり、
どれだけ序盤で点差が離れてしまっていても、
1回から9回まで毎回真剣勝負の連続になるからです。

さらには、
9回裏の攻撃で0対1で負けている時に
相手チームの絶対的リリーフエースを相手に
さまざまな作戦を駆使して
何とかして1点を取りに行く必要もなくなります。

1点差ならその試合で負けても良いという判断もできます。

それよりも、次の試合で調子の悪い投手を相手に
大量得点を狙いに行く方が効率が良いとも言えます。

試合として面白いかどうかは別として、
野球自体の概念が変わってしまうでしょう。

そして、もしも野球が得失点差で順位が決まるゲームだったとしたら、
そして、その野球を子供の頃から見続けていたとしたら、
潜在意識の中で”勝負“という概念も違っていたでしょう。
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先に挙げた通り、野球なら
1対0で9連勝して、その後、0対10で1敗して、
総得点9、総失点10でも、9勝1敗なら価値があります。
そして、
0対1で9連敗して、その後、10対0で1勝して、
総得点10、総失点9でも、1勝9敗なら意味がないです。

しかし、トレードでは全く逆です。

10PIPS獲得で9連勝して、その後、100PIPS損失で1敗して、
総得点90、総失点100なら、合計-10PIPSでトレーダーとしては失格です。
そして、
10PIPS損失で9連敗して、その後、100PIPS獲得で1勝して、
総得点100、総失点90なら、合計+10PIPSでトレーダーとしては合格です。

トレードにおける勝率なんて
その人のトレードスタイルを測る1つの構成要素に過ぎません。

最も重要なのは、
どれだけ獲得PIPSを増やすのか、
どれだけ損失PIPSを減らすのか、

です。

ここを最重要視するという意識を持つと、
トレードに対する考え方も変わってくるはずです。

トレードは麻雀に似ている?

私は麻雀をやりませんし、そのルールもほとんど知りません。

昔、友人に麻雀ゲームを教わって
それで少しだけ遊んだ程度の知識です。

そんな浅はかな知識で申し訳ないですが、
トレードは麻雀に似ているかもしれません。

自分の牌が良かったり、得意の役のパターンになりそうなら、
大きく狙っていくが、
自分の牌が悪かったり、なかなか役が揃わなかったら、
できるだけ負けないようにする。

このようなスタイルはトレードに通じるものがあると思います。

麻雀はどうやって上がるかではなく、
 どうやって降りるかのゲームだ

という格言もあるようですね。

麻雀というのは、強い人でも勝率は30%ほどだとか。

確かに4人対戦ですから、平均以上となると
そのくらいの勝率でしょうか。

つまり、1回1回の勝負では、自分が勝てない事の方が多いと
最初から分かりつつも、トータルで勝ちを目指すスタイルが
トレードに似ていると個人的には感じています。

なんというか、元々勝率が低いので、
良い意味で勝ち癖が付いていない、
良い意味で勝ちへの執着がない、
行く時は行く、引く時は引く、
という考えが出来上がっている人が多いような気がします。

もしかしたら、麻雀が強い人は
トレードでも強くなれるマインド的な下地を
持っているのかもしれませんね。