部屋に閉じこもり、机にかじりついた状態で参考書を読んだり、
もしくは、パソコン上で作業をしたり、
もしくは、何かしらの資料に目を通している時に、
面白そうなアイデア、有益そうなアイデアって浮かんでくるでしょうか?

おそらく、知識や情報を自分の中に取り込むためには、
周りの環境/騒音を一切シャットアウトして、
できるだけ雑念を減らし、意識を対象物だけに集中した方が効率的でしょう。

しかし、こと”アイデア”というものに関して言えば、
直感的であり、感覚的であり、潜在意識的なものなので、
密室空間の中でウンウン唸っていても、頭の中でグルグル考えを巡らせていても、
そう簡単には良いアイデアは浮かんでこないものです。
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「三上」~ふとした瞬間に知識のパズルがピタッとハマる

北宋時代の学者、欧陽脩によると、
良いアイデアが浮かびやすい場所としては、
三上(さんじょう)」が適しているとのこと。

三上とは、
馬上(ばじょう)」—馬に乗って移動している時
枕上(ちんじょう)」—枕に頭を乗せて寝ている時
厠上(しじょう)」—トイレに入って座っている時
この3つを表す言葉です。

要するに、
部屋に籠ってずっと同じ姿勢で考え続けるのではなく、
気分転換のために、息抜きのために、
散歩したり、仮眠をとったり、トイレに行くという”環境の変化”によって
心がリセットされ、脳がリラックスした状態になり、
それまで凝り固まり、詰まっていた知識の塊が和らぎ、動き出し、
自然と別の側面から考えることができるようになり、
知識を再構築して新たなアイデアが浮かびやすくなるんですね。

19世紀のフランスの数学者アンリ・ポアンカレは、
難解な数学の問題に煮詰まったため、一旦外へ出て散歩しようと思い、
乗合馬車の踏板に足を乗せた瞬間にフックス関数が閃いたと言われています。

もっと有名な人で言うと、
アインシュタインやエジソンは研究の途中で積極的に仮眠や昼寝を挟む事で
自身の思考能力を上げていたと言われています。

困難な問題に直面した時には、
解決方法が見つかるまでその場で一生懸命に集中して頑張るよりも、
ちょっとだけ散歩したり、ちょっとだけ睡眠をとったほうが
問題解決が早まることもあるんですね。

偉人の後に私の例を挙げるのは気が引けますが…

私の場合も、トレードで新しいインジケーターを導入したり、
ロジックの組合せを考えて検証する際に、
なかなか思うような結果が得られない、期待値>1にならないケースがあります。

更には、EA(自動売買)をプログラミングする際に、
収益曲線が綺麗な右肩上がりにならない、環境認識の関数が思ったほど機能しない
等々、実際に開発すると想定外の結果となり、なかなか改善できなこともあります。

そのような状況になったら、
基本、根が真面目タイプの私は、とにかくその場で集中して没頭し、
頭をフル回転させて、なんとか早期の問題解決を図ろうとします。

しかし…必ず解決できるとは限りません。

そんな時は、机から離れ、昼間だったら散歩に出かけたり、
疲れていたら仮眠をとったり、夜だったらお風呂に入ったりして
一旦頭を休めて気分転換を図ります。

すると…
あれほど気を張って集中していた時には出てこなかったのに、
ふとした瞬間に面白いアイデアや解決の糸口が浮かんだりするんですよね。

川沿いの道をただなんとなしに散歩している途中に
意識とも無意識とも判別が付かない想念がゆらゆらとよぎり、
ふとした瞬間に知識のパズルがピタッとハマって、
有益そうなロジックの組合せが思い付く…

仮眠している時も同様、
疲れて横になってただボーっとしていたら、
ふとした瞬間に知識のパズルがピタッとハマって、
面白そうなプログラミングの構文が思い付く…

お風呂に入っている時も同様、
湯船につかって気持ちいいなぁ~と思っていたら、
ふとした瞬間に知識のパズルがピタッとハマって、
有益そうな独自特典のアイデアが思い付く…

こういう現象って脳内で勝手に起こることなので
なかなか自分で意図的に発生させることは難しいですが、
環境を変える“という方法は問題解決の確率を高める一つの手段だと言えるでしょう。
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知識という材料は沢山あるに越したことはない

あなたも
トレードで結果が出ない、
検証作業で期待値>1にならない
複数のロジックの組み立て方が分からない
インジケーターの使い方が分からない
等々、煮詰まった状況になってしまったら、
一旦その場から離れて and 問題から離れて、
肉体的にも精神的も環境を変えてみてはいかがでしょうか。

これは消極的な意味での逃げではありません。
問題解決の糸口を見つけるための積極的な逃げです。

面白いアイデア、有益なアイデアって
事務所や研究室や会議室で生まれるとは限りません。

ふとした瞬間に知識のパズルがピタッとハマる感覚は
脳が緩んだ時に起きるものです。
それをあなたもたくさん体感してください。

しかし、こうした現象を起こさせるためには、
頭の中を知識という材料で一杯に詰め込んだ状態
にしておく必要があります。

なぜなら、
そもそも知識というパズルが無ければ、
それを組み立てること自体できないわけですからね。
空っぽの知識で散歩しても何も生まれてこないのは明白です。

知識を詰め込み過ぎてギュウギュウになり
身動きが取れないくらいになっていることが重要です。

そんな状態の時に、散歩や仮眠などをすると、
脳が緩み、知識が緩み、スペースができて、
知識というパズルが脳内でランダムに動き、撹拌されて、
潜在意識レベルで必要な知識だけがピックアップされ、
それらが有機的に結合することで、これまでにない新しいアイデアが誕生するわけです。

なので、まずは集中して勉強し、沢山の知識を身に付けてください。
材料が沢山あればあるほどそれらの組合せのパターンは増加し、
それに比例するようにアイデアの数も増加し、
そのアイデアが表層意識にまで浮上する確率も高くなってきます。

散歩/仮眠/入浴を単なる息抜きで終わらせるか、
それとも、新発想、新アイデアを得るための技術とするのか、
それはあなた次第です。