今年に入ってから、年初のフラッシュクラッシュ以降に
初めて為替市場に参加した方々は実感していないでしょうが、
今年の相場は低ボラティリティ相場が続いています。
いわゆる値幅が出ていない状態、凪相場です。
私の場合は、
ロンドン時間の16時~NY時間の24時までがトレード時間で、
この時間帯は、一般的には最も相場が動くと言われています。
以前ならば、この時間帯を監視していれば、
主要通貨ペアは100PIPSくらいの値幅、上下幅は普通に出ていたものです。
しかし、今年に入って以降は、
最も動く時間帯でさえも、値幅が20~30PIPSほど、
ひどい時には20PIPS程度さえも動かない日もあったりします。
う~ん、長年チャートを見てきている私としては、
ちょっと異常というか違和感を感じます。
為替って本来はもっとダイナミックに動く市場です。
今年から相場に参加した初心者さん、
今のボラティリティが通常だとは思わないでくださいね。
現在のボラティリティを確認
では、実際にどのくらい低ボラティリティなのか、
具体的な数字で確認していましょう。
以下に掲載している主要通貨ペアUSDJPY,EURJPY,EURUSDの
サブウィンドウは日足チャートでのATR(10)です。
ATRとはAverage True Rangeの略で、
平均的な値幅を表すインジケーターです。
そして、このATRを日足チャートに適用すれば、
1日の平均的な値幅を表すことになります。
ATRの詳しい見方、計算式は他サイトに譲りますが、
要するに、ATRの数値が大きければ高ボラティリティーで
ATRの数値が小さければ低ボラティリティと解釈してください。
USDJPYの日足チャート
EURJPYの日足チャート
EURUUSDの日足チャート
去年からのATRの推移をお見せしたかったので、
横軸の間隔を狭くしています。
上記3つの通貨ペアは去年9月以降のチャートですが、
サブウィンドウのATRの推移をご覧になってどう思いますか?
(一応、目印として0.7に水平破線を引いています)
USDJPYに関しては、通貨ペアの特性から
元々それほどボラティリティが大きい方ではないので、
あまり大きな変化は見られませんが、
それでも年初のフラッシュクラッシュ以降は
低ボラティリティ傾向になっています。
そして、EURJPYとEURUSDに関しては、
今年1月を境にして明らかにATRの数値が
低くなっている事が分かりますね。
去年と比較した場合、
半分くらいのボラティリティしか出ていない感じでしょうか。
もちろんGBPJPYやGBPUSDの日足チャートのATRでも
同様な低ボラティリティ傾向になっています。
(時間があれば実際にGBPJPYやGBPUSDの日足チャートに
ATRを設定して確認してみてください)
ちなみにATRというインジケーターは
トレンドやレンジに関係なく上下動します。
トレンドだから大きな数字になったり
レンジだから小さな数字になったりするわけでもありません。
多少は影響しますが、あくまでもボラティリティの大きさですので、
トレンドだとしてもジリ高だったらATRの数字は低くなりますし、
レンジだとしても乱高下していたらATRの数字は高くなります。
では次に、もう少し長期で、
週足チャートでも確認してみましょう。
USDJPYの週足チャート
EURJPYの週足チャート
EURUSDの週足チャート
上記は2015年~直近までの約4年半分のチャートですが、
今年2019年が過去の相場と比較してどれだけ動いていないのかが
よりハッキリと分かってもらえると思います。
1週間で100PIPSも動かないなんて、
異常な低ボラティリティです。
低ボラティリティ相場が個人トレーダーに与える影響は?
では、現在の低ボラティリティ相場は
何に影響を与えているのか、、、
それは手法に影響を与えています。
特にトレンドフォロー系の手法には悪影響を与えているでしょう。
なぜなら、
ボラティリティが出ないために利大を目指せないからです。
利大を目指すとすぐに反転の場面に遭遇してしまうからです。
トレンドフォローとはその名のとおり、
トレンドに従って仕掛ける戦術です。
なので、
まずはトレンドの初動をある程度確認する必要がありますが、
低ボラティリティだと、そのトレンドの確認作業の時点で
トレンドが終わってしまいます。
つまり、ある程度のトレンドを確認して
「さぁ、今からトレンドに乗ろう」と判断した時点が
トレンドの終わりになってしまうんですね。
要するに、高値掴み、安値掴みで
買ってもダメ、売ってもダメの状況です。
具体的に数字でイメージすると、
通常の100PIPSほどのボラティリティがあれば、
トレンドの初動を20PIPS程度確認してからエントリーすれば、
残り80PIPSが利益の可能性になります。
しかし、30PIPS程度のボラティリティしかないと、
トレンドの初動を20PIPS程度確認してからエントリーすると、
あと10PIPSしか残されていません。
しかも、そこから利大を目指そうとすると、反転の憂き目にあい、
結果、損切りになってしまう可能性が高くなります。
よって、トレンドフォローと低ボラティリティは
相性があまり良くありません。
では、デイトレーダーとしてはどうすれば良いのか、、、
その対処方法として
- エントリーポイントを早くする
- 利大を目指さず適度に利確する
- トレンドフォロー系の手法ではなく逆張り系の手法に変える
などが挙げられるでしょう。
私の別ブログ「FXデイトレ!稼ぐ手法の勉強ブログ」では
その日のトレードシナリオと結果をできるだけ毎日アップしていますが、
今年に入って以降は、上記3つの対処方法を使い、
これまでのトレンドフォロー系の手法に変化を持たせて対応しています。
それと、もう一つ影響を与えているのが、EA開発ですね。
EA開発でバックテストをする際、
トレンドフォロー系のロジックにすると
どうしても2017年以降の成績が
下がり気味になってしまう傾向が見られます。
これは上記の週足チャートで確認したように、
2017年以降のATRが下がり気味なのが影響しているようです。
以上、低ボラティリティ相場が与える影響について
個人的な見解を述べてみました。
現在の低ボラティリティ相場がいつまで続くのか、
そして、何がきっかけで通常相場に戻るのかは
誰にも分かりません。
もしかしたらAI(人口知能)が既に相場を操っていて、
ボラティリティが起きにくい仕組みになっているんでしょうか?
よく分かりませんが。。。