FXのトレードテクニックの一つにナンピン(難平)というものがありますね。
元は株式投資で用いられたテクニックですが、FXでも同様に使えます。
特に説明するまでもないと思いますが、
ナンピンとは、買いポジションを持ったが、思惑と反対に下げてしまった為に、
下がったところで更に買いポジションを追加して、
買いポジションの平均レートを下げる行為です。
(売りの場合はこの逆ですね)
こうして平均レートを下げる事で、その後は僅かな上昇幅で利益が出る、
または、買値付近で引き分けで逃げる事ができるので、
意識的、無意識的問わず、使っているトレーダーは多いでしょう。
私もFX初心者だった頃には、使っていましたが、
今となっては、全くナンピンはしません。
エントリー注文を出した直後、ストップ注文を入れる事が習慣化していますので、
私にはナンピンという選択肢は無く、
ストップを置いた位置までレートが動いてしまったら、
そこで強制的に損切りとなり、トレードは終了となります。
相場の流れを無視し、勝ちに固執して、
無理やりトレードを長引かせるような事はしません。
そうしてスッパリ損切りした方が、精神的にも気楽ですし、
トータルで見た場合のトレード成績も安定するという事が
経験的に分かっているので、これから先も私の手法には、
ナンピンというテクニックの入る余地は、ほとんどないでしょう。
何十回もナンピンを繰り返す手法って。。。
私は情報収集の為に、いくつかFX系のメルマガを読んでいるんですが、
その中で、30回以上もナンピンを繰り返す可能性のあるEA(自動売買)を
ほとんど負ける事がないからおススメですよ、といってくるものがありました。
はぁ~。。。30回ものナンピンですか。。。
EA(自動売買)に関わらず、通常の裁量判断によるトレードでも、
そんなにナンピンを繰り返せば、どんな手法だって、
そりゃあ高勝率になりますよ。
ほとんど負ける事のない、聖杯を思わせるようなトレード手法と思うでしょうね。
確実に資金が増える喜びに、毎日が楽しくなるでしょうね。
でも、、、
一回負けたらそれまでの利益は吹っ飛び、
運が悪いと口座資金のほとんどを溶かしてしまい、
即刻退場になってしまいますけどね。
その負けがいつ来るのか分かっていればよいんですが、
当然いつやってくるのか事前に分かる術はありません。
明日なのか、1週間後なのか、1年後なのか、10年後なのか。。。
こんな状態のトレードは、投機や資産運用と呼べるようなものではなく、
勝つか負けるかのギャンブルをやっているようなものです。
自分のトレードの実力とは関係のない、
運まかせの状態をフラフラと彷徨っているだけです。
運が良ければトントンで生還、運が悪ければ一発退場です。
しかも、何十回ものナンピンをする事を前提にトレードをする場合、
1回目のエントリー時のロット数、ポジションサイズは、
資金量に対してかなり小さく設定しなければならず、
通常の勝ちトレードでの利益量は微々たるもので、
資金の増加率は極端に悪くなってしまいます。
「いろいろ問題点はあるかもしれないが、実際なかなか負けないからね」
「これまで勝ってきたから、当分は大丈夫だろう」
リスク管理を怠っている人、危機意識の低い人に限って
最悪の状況は起きてしまうものです。
ナンピンは、EA(自動売買)で採用されていても、
裁量トレードで自己判断で用いるにしても、
麻薬に属する部類のテクニックであり、
人間心理の弱さを突いた常習性のある嗜好品と同じです。
連戦連勝で何か月も勝ちっぱなしなので、止めるに止められず、
いつか負けるかもと思っていながらも、心は浮かれまくっています。
そういう状態の時にいきなりナンピンの嵐に見舞われ、含み損が急激に膨らみ、
それまでの利益が一気になくなり、口座資金も元本割れ。。。
ナンピンだけしていればなんとか勝っていたので、
まともにFXの勉強をすることもなく、結局、資金が無くなってしまった事で、
それまでの時間が全て無意味なものになってしまいます。
FXに関して何も得るものが無いまま、ただ無駄な時間を過ごしただけだった事に、
あとになって気づくようになります。
過去の私です。
計画的な、戦略的なナンピンまでも否定するつもりはないですが、
そんな高等戦術に手を出す前に、FXではやるべきことはたくさんあります。
ですので、特にFX初心者や利益が上げられない人は、
できればスッパリとナンピンを止めた方が
心理的にも落ち着いてチャートに向かい合えますし、
トレード自体もシンプルに考える事ができるようになるでしょう。
そしてなにより、市場で生き残る確率が高くなります。
“ナンピンは人間心理の弱さを突いた常習性のあるテクニック” への1件のフィードバック