私の時もそうでしたが、初心者ほど目標を異常に高く設定しがちです。
現実を見ていないのか、現実が分からないのか、
名だたるトップトレーダーですら達成できないような目標を
真面目に掲げている方もいらっしゃいます。
「1日20回ほどエントリーして、
損切りまでの距離は10PIPS程度にして、
利確までの距離は損切りの2倍以上にして、
勝率は80%くらいを目標にしよう」
…無理です…人間技とは思えません。
できるだけエントリー回数を多くしたい気持ちは分かります。
できるだけ損切りまでの距離を近くしたい気持ちも分かります。
できるだけ利確までの距離を遠くしたい気持ちも分かります。
できるだけ勝率を高くしたい気持ちも分かります。
でも、現実はそんなに甘くは無いです。
無謀な目標は無謀なトレーディングに繋がります。
特に勝率に拘るとロクなことになりません。
FX初心者が80%なんていう高勝率を目標に掲げると、
必ずと言っていいほど自分のトレードスタイルを崩します。
なぜなら、勝率80%ということは、
一度負けてしまうと、その後は4連勝しないと勝率80%をキープできない計算です。
4連勝というノルマを脳内で再生してしまうと、
ストレスが溜まり、ルールを破り、ストップを広げて、すぐにでも利確したくなるでしょう。
2連敗でもしようものなら、その後は8連勝がノルマです。
もはや冷静な精神ではいられないはずです。
「もう負けられない」
頭に血が上った状態でチャートを凝視し、もはやルールなんてどうでもよくなり、
その場限りの何の根拠もない裁量トレードを繰り返すだけになってしまう危険性もあります。
「目標は高く!」
よく言われる言葉ですが、”高く“と”無謀“は違います。
あなたにとっての適切な目標設定をしておきましょう。
いや、もしかしたら………
私たちの常識を覆すような、上記で人間技ではないと書いた目標ですら
簡単に達成してしまう伝説のスーパートレーダーがどこかにいるかもしれません。
機関投資家やファンドマネージャーなどの経験もなく、書籍も出さず、
世に出ず、ひっそりと隠れてとんでもない金額を稼いでいるトレーダーが
0.0001%の確率でどこかに存在するかもしれませんが、
でも…そんな人を憧れても、そんな人を目標にしても、そんな人をライバル視しても意味は無いです。
お手本にすべき王道スタイルのトップトレーダーは書籍等に存在しますので、
その方たちの思考、戦略を勉強しましょうね。

初心者にとっての現実的な目標は
FX初心者が最初に目標にすべきは、
PF(プロフィットファクター)>1
です。
まずはこれです。最初にして最大の目標とも言えます。
PF(プロフィットファクター)=総利益÷総損失
という計算式で表され、
PF>1であれば利益が出ている状態、
PF<1であれば損失が出ている状態です。
ほんの僅かでも良いんです。ほんの僅かでも1を上回ることを目標にしましょう。
ではそれを実現するための具体的で常識的なトレーディングスタイルですが、
デイトレであるならば、5分足や15分足をメインの執行時間軸にしていると思われますが、
その場合の1日のエントリー回数は多くても5回まで、
それ以上はトレード依存症、トレードに高揚感を求めていて
心が危険な状態になっていないか自分自身を疑いましょう。
そして、もしもその日の環境認識で明確な方向性が出ている通貨ペアが無ければ、
1日ノートレードで終わることも普通にあり得ることを認識しましょう。
さらに、PF>1を実現するための具体的な例としては、
- 勝率40%で平均勝ち幅35PIPS、平均負け幅20PIPSで、PF=1.16
- 勝率50%で平均勝ち幅25PIPS、平均負け幅20PIPSで、PF=1.25
- 勝率60%で平均勝ち幅15PIPS、平均負け幅20PIPSで、PF=1.13
などを提案します。
勝率は高過ぎても低過ぎても心に負担がかかるので、
40%台~60%台に収まるのが良いです。
また、スイングトレードならば、
1日のエントリー回数は1回、多くても2回までに抑える事、
時には1週間エントリーしない場合もあり得ると認識しましょう。
トレーディングスタイルに関しては幅があるので具体例は挙げにくいですが
例えば、
- 勝率40%で平均勝ち幅100PIPS、平均負け幅60PIPSで、PF=1.11
- 勝率50%で平均勝ち幅70PIPS、平均負け幅60PIPSで、PF=1.17
- 勝率60%で平均勝ち幅50PIPS、平均負け幅60PIPSで、PF=1.25
など、勝率はそのままで、勝ち幅と負け幅はデイトレの3倍程度が目安でしょうか。
まずはこれを目標にしましょう。
「こんな程度で良いの?」
と思うかもしれませんが、これを実現できない初心者がほとんどなんですよ。
これでも十分に高い目標だという事を理解してください。

損切りに慣れることが重要
先に「高勝率トレードに拘るな」「高勝率トレードはストレスが溜まる」と書きましたが、
別の観点では、
“FX初心者は負けに慣れていない”
と言う事ができます。
トレードでの負けは悪い事なので、できるだけ避けたいと
潜在意識の中で思っている人がほとんどでしょう。
負けトレードを忌み嫌っているのに、負けトレードという現実を突きつけられて、
メンタルをどのように保てばよいのか分からない状態…
それが初心者です。
なのでまずは意識改革をしましょう。
トレードでの負けは悪い事ではないし、避ける事でもない。
どんなトップトレーダーでも当たり前のように負けますし、
それを当たり前のように受け入れています。
そのようなメンタルに近づくためには、”負けに慣れる”ことが重要です。
負けに慣れるとは、
負けてもトータルで見れば資金が増えているという実感を得ている状態で、
その為には高勝率ではなく、40%台~60%台の”非”高勝率型のトレードスタイルが有効です。
勝率が40%台~60%台ならトレードの約半分は負けるわけです。
それでもPF>1が実現できていれば、負ける事を忌み嫌う必要もないわけです。
負けたことに焦る必要はないですし、
負けたから次のトレードで取り返さなければいけないという意識も起きません。
だって、トレードの半分を負ける事こそが自分のトレードスタイルなんですから。
負ける事も自分のトレードスタイルの一部だと理解すると、
平常心のまま、精神的に安定した状態で負けることができます。
つまり、損切りに慣れた状態です。
勝率を高める必要が無いトレードスタイルを確立できればストレスは無くなり心が安定しますよ。
半ば勝つことを義務付けられたストレスの多い高勝率型のトレードスタイルと
半分負けてもよいストレスの少ない”非”高勝率型のトレードスタイル
同じPF>1ならどちらが良いですか?


