以前、私が書いた
「お前なんか破産しろ」~勝ち組トレーダーがそんなこと言いますか?
この記事の中で、
脳は主語を理解できない“というお話をさせて頂きました。

概要としては、
「馬鹿野郎!」「嘘つき!」のような他人に対して言ったつもりの誹謗中傷の言葉は
主語を理解できない脳の働きによって、自分が言われた時と同じ脳波を示し、
自分自身がストレスや不安を感じるようになる、
という趣旨の話でした。

今回もう一つ、脳に関する別のお話しをすると、
脳は現実と想像を区別することができない
と言われています。

つまり、
脳は現実に起こった出来事と頭の中で想像しただけの出来事を
明確に区別することができず同じように捉えてしまうことがあります。

これは良い意味でも悪い意味でも、です。

例えば、スポーツ選手は競技前にイメージトレーニングをしますが、
これは脳が現実と想像を区別することができないことを上手に活用した例ですね。

頭の中で良いイメージを繰り返すことで脳はそれが現実だと錯覚し、
時には実力以上のパフォーマンスを引き出してくれます。

逆に、悪い意味で知らず知らずのうちに活用してしまっているケースもあります…
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過去を思い出して後悔する、未来を心配して不安になる

「あの時、あんなこと言わなければよかった…」
「あの時、余計なことしなければ上手くいってたのに…」

自分では忘れたいと思っていても、
つい、ふと、過去の出来事を思い出して後悔することってありますよね。

一度だけならまだしも、気が付くと何回も思い出してその度嫌な気分になる…

心理学の立場では、このように過去の失敗や後悔を何度も繰り返し考えてしまう状態を
反芻思考」と呼びます。

この反芻思考が続くと不安やストレスが増していき、
心身の健康に悪影響を及ぼしていくことが分かっています。

脳科学の観点でも、過去の出来事を繰り返し思い出していると、
今まさにその出来事が起きている“と錯覚するようになり、
それによってストレス反応を起こしてしまいます。

既に終わった過去の出来事なのに、
反芻思考により、脳が現実の出来事と捉え心身に悪影響をもたらしてしまう…

脳は現実と想像を区別することができない
これを悪い意味で活用してしまった例です。

他にも…

「明日のプレゼンテーション失敗したらどうしよう…」
「明日の面接上手くいかなかったらどうしよう…」

自分では事前に準備したつもりでも、
何が起きるか分からない未来の出来事に不安になってしまうことってありますよね。

一度だけならまだしも、気が付くと何回も頭の中であれこれ考えてしまう…

心理学の立場では、このように実際には何も起こっていないにも関わらず、
不安や心配が先行してしまう状態を「予期不安」と呼びます。

この予期不安が続くと不安やストレスが増していき、
心身の健康に悪影響を及ぼしていくことが分かっています。

脳科学の観点でも、未来の起こってもいない不安を繰り返し想像していると、
今まさにその出来事が起きている“と錯覚するようになり、
それによってストレス反応を起こしてしまいます。

まだ始まってもいない未来の出来事なのに、
予期不安により、脳が現実の出来事と捉え心身に悪影響をもたらしてしまう…

脳は現実と想像を区別することができない
これも悪い意味で活用してしまった例です。
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今に意識を向けるためのスイッチの役割をする言葉

私は昔から心配性で、いろいろ考えてしまう癖がありました。
先に説明した反芻思考や予期不安も日常的に行っていました。

何とかしてこの思考の癖を直したいと思い、
自己啓発系の書籍を何冊か読んで自分なりの解決方法、
ベストとまではいかないものの、ベターな解決方法を見つけました。

それは…
過去を悔やむな、未来を憂うな、今を生きて自己成長する
という言葉を唱えることです。

意味としてはそのままですね。
過去を後悔しても仕方ないし、未来を心配しても仕方ない、
そんなことよりも、自己成長するために今の自分に何ができるのかを自問自答しよう、
とするもの。

重要なのは唱えるタイミング。

過去の出来事、未来の出来事を考えてしまう…と思った瞬間に、
この言葉を唱えるんです。

この言葉をきっかけにして、
今自分が取り組むべき課題に意識を向けるようにするんです。

サラリーマンだって、主婦だって、学生さんだって、
今やらなければいけない事は沢山あるはずです。
仕事、家事、勉強…とにかく行動し今に集中するんです。

「そんなこと言っても、ふとした時に過去を思い出してしまうよ」
ならば、そのたびに何度でも上記の言葉を繰り返し、今に意識を向けるんです。
思い出すたびに何度でも何度でも何度でも、です。

そうすれば次第に今に集中できるようになります。

私の場合、過去の出来事、未来の出来事を考えてしまう…と思った瞬間に
自然に無意識のうちに上記の言葉が浮かんできて、
自動的に頭の中で唱えることが習慣化されており、
それによってスイッチを切り替えるように”“に意識を向けられるようになりました。

この一連の流れが自分の中の思考パターンとして確立していて、
すぐに”“に帰ってくることができるようになっています。

あなたも試してみませんか?
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トレードでも過去や未来を考えるのではなく今に集中する

この言葉はトレードしている時にも有効です。

「何であんなところでエントリーしてしまったんだろう…」
「もっと早く損切りするつもりだったのに何で遅れたんだろう…」
「トレンドは続いていたからもっと利大を目指すべきだった…」
既に終わったことなのに、いつまでもクヨクヨ考えて今に集中できない。

同じく…

「このポジション損切りになったらどうしよう…」
「寝ている間に急落したらどうしよう…」
「このままだと今週はマイナス収益になってしまう…」
まだ起きてもいないことなのに、いろいろ考えて今に集中できない。

過去や未来の出来事が頭をよぎりそうになったら、
その瞬間に、
過去を悔やむな、未来を憂うな、今を生きて自己成長する
を唱えて、今取り組むべきことに意識を向き直すようにするんです。

今取り組むべきこととは、
チャート監視中であるならば、
環境認識を行い、エントリーポイントに近そうな通貨ペアを見つけるetc
ポジション保有中であるならば、
損切り位置を確認し、利確条件を確認し、次のアクションに備えるetc
週末で相場が動いていない時ならば、
過去チャートを用いて検証トレードを繰り返したり、
レジスタンスライン、サポートラインを引いて手法の優位性を高めたりetc

トレードも仕事です。
今やらなければいけない事は沢山あるはずです。
それに意識を向け集中するんです。

その意識を向ける切り替えスイッチの役目となる言葉が
過去を悔やむな、未来を憂うな、今を生きて自己成長する
なんです。

余計なことを考えない一番良い方法は”“に集中することです。

人間って具体的に行動し、その行動に意識が集中している時には、
不安は起きにくく、ストレスも起きにくくなります。

過去や未来はコントロールできませんが、
今この瞬間は自分の意思でコントロールできます。

人生もトレードも同じ、今この瞬間を大切にしたいですね。