前回の記事
「収益曲線からナンピン、マーチンゲール型EAを見分ける」
の続きです。
先に紹介したナンピン、マーチンゲール型EAは
英のEU離脱を問う国民投票後の乱高下相場、及び、
リスク回避の超高ボラティリティ相場を通過して
はたしてどのような収益曲線となったんでしょうか。
それが以下です。
これは6月24日(金)の英国民投票が終わって
その翌日の土曜日にキャプチャーした収益曲線です。
見ての通りです。
[Growth]は、約16%と上昇していますが、
[Equity Growth]は、何と!-50%付近まで暴落しています。
逆張り系のタイミングでエントリーしているんでしょうか、
ロットを増やしながらナンピンにナンピンを繰り返した結果、
含み損のポジションだけが残ってしまっている事が読み取れますね。
僅か、1~2日間の出来事です。
それまでは、-5%ほどで推移していましたが、
先の超高ボラティリティ相場を受けて、
一気に-50%付近まで、つまり資金が半分ほどに減ってしまいました。
これがナンピン、マーチンゲール型EAの怖さです。
明日か、1週間後か、1ヵ月後か、1年後か、10年後か。。。
いつになるか分かりませんが、
ナンピンとマーチンゲールでは処理しきれない相場が必ず訪れます。
運悪くそうした場面に遭遇してしまうと、
このように含み損のポジションだけを抱えたままで
徐々に身動きが取れなくなっていきます。
もちろん、
「決済していないポジションは損益に含めない」
なんて都合の良い考えは通用しませんよ。
実際問題として、
今この口座の全ポジションを決済してしまったら
資金は当初の半分しか残っていないんですからね。
まぁ、未来の事は分かりませんから、
この後挽回して再び元本まで回復する可能性が全く無いわけではないですが、
それよりも証拠金不足で強制決済される可能性の方が
はるかに高い状況である事は間違いないです。
含み損のオーバーポジションで身動きが取れない。。。
では、-50%まで減ってしまった時点でのポジションは
どのようになっているんでしょうか?
先に、「含み損のポジションだけが残ってしまった」と書きましたが、
それが以下です。
これも6月24日(金)の英国民投票が終わって
その翌日の土曜日にキャプチャーしたポジション一覧の一部です。
ずら~っとポジションが並んでいますが、
全てマイナスの赤文字表記となっています。
特に見るべき個所は青丸で囲ってありますが、
まず、ポジションを38個も持っています。
そして、トータルのロット数が7.6となっていて、
含み損の金額が180万円、
含み損のPIPSが-10000超え、
損失が-52%近くにまで及んでいます。
それぞれの通貨ペアのポジションを見たところ、
ナンピン、マーチンゲールだけではなく、
ヘッジしたポジションを更にヘッジしている様子も見られるので、
ちょっと収拾がつかなくなってきていますね。
1つの通貨ペアでロングとショート共に大幅マイナスとなっているポジションを
今後どうやって解消していくんでしょうか?
ちなみに、この口座は300万円から始めているんですが、
300万円に対しての適切なロット数は、3ロット程度とするのが
一般的な資金管理の考え方としているケースが多いです。
この口座の場合、既に有効証拠金が150万円ほどになっているので、
適切なロット数は、1.5ロットとなるわけですが、
現状では既にその約5倍にあたる7.6ロットまで抱え込んでいて、
これは明らかにオーバーポジションであり、
パンパンに膨れ上がったポジションに身動きが取れなくなる寸前といえます。
いかがですか?
こんなEAを使いたいと思いますか?
EA自体はやっても構いませんが、
ナンピン、マーチンゲールを採用しているEAだけは
手を出さないようにして下さい。
どうしても使いたいと言うのなら、ナンピンはあっても3回までです。
それも適切な資金管理の元でです。
しかしそれ以前に、そもそもナンピンやマーチンゲールに頼らないと
期待値>1のEAを作れないという開発者の発想自体がおかしいです。
ナンピン無しだと、勝てるEAを作れないんでしょうか?
マーチンゲール無しだと、勝てるEAを作れないんでしょうか?
確かに、ナンピン、マーチンゲール型のEAは勝率が良いですが、
勝率の良さとEAの良さは全く関係ありません。
にも関わらず、勝率の良さばかりを謳い、
含み損でポジションが膨れ上がる危険性には一切言及せずに
見せかけの安定性を謳っているEAは、正直言って信用できません。
今回参考に取り上げたEAも
「天才プログラマーが作った、、、」
「円高円安一切関係なし」
「勝率9割!安定性を誇るロジック」
と読者ウケするように紹介されていましたが、
実際には上記のような経過を辿っています。
今回は英国民投票を材料としたイレギュラーな相場でしたが、
これほど大規模でなくても、相場は常に暴騰暴落を秘めています。
そして、ナンピン、マーチンゲール型EAは、
自身が想定していない相場の時にタイミング悪くエントリーしてしまうと、
このように一気に含み損が増えてしまいます。
そうなると、あとはただただ回復を願うだけの
精神的に不安定な毎日を過ごさなければいけなくなります。
そんな生活したくないですよね?
もちろん強制はしませんが、
上記のような含み損のポジションに悩みたくないのでしたら、
ナンピン、マーチンゲール型のEAだけは使わないようにして下さい。
PS.
この記事を書いている本日、再び上記EAの成績を確認しに行きましたが、
7月に入ってから更新が止まっていました。
やっぱり、、、破綻したようです。。。
“ナンピン、マーチンゲール型EAの怖さ~含み損のオーバーポジション” への1件のフィードバック